古代ギリシャにおいて「市民(ポリテース)」とは、単なる国の住民ではなく、都市国家(ポリス)を支配する階級の一員として位置づけられる特別な身分でした。
市民に与えられた二つの重要な権利
古代ギリシャの市民は、次の二つの政治的権利を保障されていました。
- 投票権 — 民会や陪審裁判などで直接、意思決定に参加できる
- 公職就任権 — 行政官、評議員、将軍などの役職に就く資格を持つ
とりわけアテナイでは、市民が自ら集会に出席して政策を議論し、多数決で決定する直接民主政が発展しました。これは現代のような間接民主主義とは異なり、市民一人ひとりが統治の主体となる画期的な仕組みでした。
市民になれたのはごく一部の人々だけ
ただし、この権利は決して万人に開かれたものではありませんでした。市民資格は原則として成人男性の自由民に限られ、以下の人々は排除されていました。
- 女性
- 奴隷
- 外国人(メトイコイ=在留外人)
そのため、ポリスの全人口の中で実際に政治参加できたのは少数派にとどまり、「民主政」と呼ばれながらも、現代の感覚から見れば非常に限定的な制度だったといえます。
まとめ
古代ギリシャの市民とは、投票権と公職就任権を通じてポリスの運営に直接関与する支配階級の成員でした。この市民概念こそが、後世の西洋民主主義思想の出発点となったのです。