考古学的発見

ポンペイでハイテク発掘プロジェクトが始動――2000年眠る未踏区域に挑む

西暦79年のヴェスヴィオ火山噴火以来、人間の手が一切加わってこなかった区域で、最新技術を駆使した考古学発掘の準備が進められている。

ポンペイでハイテク発掘プロジェクトが始動――2000年眠る未踏区域に挑む

ヴェスヴィオ火山を背景に望むポンペイの街並み

「素晴らしい発見が期待できる」

「素晴らしい発見が期待できます!」と、イタリア・ポンペイ考古学公園のマッシモ・オザンナ館長は意気込む。2018年3月9日(金)、ミラノ工科大学で開催されたイタリア文化遺産の将来に関する会議の場で、ヴェスヴィオ火山の噴火により滅亡した古代都市ポンペイの、全く新しい区域における発掘調査計画が発表されたのである。

ANSA通信によると、第二次世界大戦終結以来初となる大規模な発掘・調査キャンペーンが、まもなく始動する予定だ。対象となるのは、古代ローマ都市の北側に位置する「第5区(レジオV)」の約1000平方メートルのエリアである。この区域は1836年から1875年にかけて周辺部が部分的に調査されたことがあるだけで、1943年には爆撃による被害も受けていた。発掘の目的の一つはこうした区域の安全確保への貢献だが、最大の注目点は別にある。それは、近年ディオメデス荘などでフランス国立情報学自動制御研究所(INRIA)や高等師範学校(ENS)の支援のもと実施されてきたような、考古学者が現在活用している先端技術を体系的に導入することなのである。

ポンペイでハイテク発掘プロジェクトが始動――2000年眠る未踏区域に挑む

ローマ都市ポンペイ北部に広がる「第5区(レジオV)」

ポンペイでハイテク発掘プロジェクトが始動――2000年眠る未踏区域に挑む

1748年から1983年までに発掘されたポンペイ市内の各区画。白い部分はこれまで一切手つかずの区域

ドローンとレーザー、3D復元で区域全体を調査

ドローン、レーザー測量、3D復元といった技術が、これまで誰にも触れられてこなかった広大なエリアの調査と探索に活用される。この新たな調査計画の独創性は、過去数十年にわたり繰り返されてきたように、豪華な邸宅「ドムス」の1軒や2軒、あるいは集合住宅「インスラ」や墓所などに調査範囲を限定するのではなく、区域全体をまとめて調査できる点にある。

そして今、あらゆる夢が許される。数か月かけて取り除かれていく数メートルの厚さの軽石(ラピリ)の層の下からは、2000年の時を超えてモザイクやフレスコ画が再び姿を現し、貴重な遺物を豊かに秘めた未知の住居が発見される可能性もあるのだ。

新たな犠牲者の発見も?

考古学者たちが新たな噴火犠牲者の遺体を掘り起こすことになるのだろうか? その可能性は十分にある。ティレニア海に面するこの小さな町で18世紀以降に行われたすべての発見が記録されている『ポンペイアナルム・アンティキタタム・ヒストリア』の新たなページを埋めることになるだろう。

さらに、1997年に世界遺産に登録された由緒あるこの遺跡では、近年、スキャンダルや管理不行き届きが重なる中で複数の建物が相次いで崩落・損傷しており、今回の発掘がそうした記憶を払拭する契機となるかもしれない。実際、2013年には「グランデ・ポンペイ・プロジェクト」の一環として、世界でも類を見ないこの遺跡の修復と保護のため、総額1億500万ユーロ(うち4280万ユーロはEUが拠出)の予算が投入され、本格的な再生への道が歩み始められていたのである。