コイサン(コイコイ人とサン人)の男性たちは、弓や矢を作る際だけでなく、狩猟、切断、削り、穴あけといった日常的な作業においても、さまざまな石器を駆使していました。ここでは、彼らが使用した主な道具と技法を紹介します。
1. 石鏃(せきぞく)
矢の先端には石鏃を取り付け、狩猟で確実に獲物を仕留められるようにしました。チャート(燧石)、メノウ、ジャスパーなど、割れやすく鋭い刃が得られる石材が好んで用いられました。
2. 柄付きスクレーパーと斧形工具
木製の矢柄を削って成形し、表面を滑らかに仕上げるために使用されました。椀や食器、掘り棒など、ほかの生活用具づくりにも幅広く活用されました。
3. 剥片石器のナイフ
鋭い刃を持つ剥片石器のナイフは、動物の皮や木材など多様な材料を切断するのに不可欠でした。衣類の制作・修理、住居の構築、食料の加工など、日常生活のあらゆる場面で重宝されました。
4. 穿孔器(ドリル)
木材や骨に穴を開けるための専用工具です。矢じりの固定、柄の取り付け部の加工、装身具や装飾品の制作などに使用されました。
5. 磨石(といし)
石器の手入れや刃先の研磨には磨石が使われました。平たく粗い粒子の岩石が多く、刃先の整形や鋭さを保つ作業に役立ちました。
6. ハンマーストーンと金床
ハンマーストーンで石を打ち欠いて道具の形を整え、金床(アンビル)は石を載せて加工するための安定した作業面として機能しました。
7. 圧剥(あっぺき)技術
専用の工具で制御された圧力を加え、大きな石核から小さく精密な剥片を一枚ずつ剥ぎ取る高度な技法です。これにより、鋭い刃先や複雑で精巧な形状を作り出すことが可能になりました。
8. 骨と木の道具
石器以外にも、骨や木で作られた道具が多用されました。骨製の錐や針は縫製や細工に、木製の道具は掘削、伐採、運搬などの作業に使用されました。
地域による違いと道具の意義
使用される道具の詳細は、地域や各コイサン集団の文化的慣習によって多少異なっていました。石材が道具づくりの中心でしたが、骨、木、その他の有機材料も組み合わされていました。こうした道具群の組み合わせにより、コイサンの人々は厳しい自然環境の中で生存し、適応していくために必要な多様な作業をこなすことができたのです。