
フランス・ルネサンス期を代表する伝説的な女性、ディアンヌ・ド・ポワティエ(Diane de Poitiers)。彼女は自らより40歳年上のノルマンディー大元帥ルイ・ド・ブレゼに嫁ぎましたが、その人生は結婚だけにとどまらず、二人のフランス国王の寵愛を受けるという波乱に満ちたものでした。
二人の王を虜にした絶世の美女
ディアンヌはまず国王フランソワ1世の最初の愛妾となり、その後、次代の王アンリ2世の寵姫として宮廷に君臨しました。驚くべきことに、アンリ2世は彼女よりも20歳も年下でした。それでも若い王は美しく聡明なディアンヌに心を奪われ、その関係は王が亡くなるまで続いたといわれています。
王に影響力を行使した寵姫
ディアンヌは単なる愛人にとどまらず、政治面でも大きな影響力を持っていました。彼女はアンリ2世に対してプロテスタントへの弾圧を強めるよう働きかけたことで知られています。王は彼女に数々の栄誉を与え、さらにはロワール渓谷の名勝シャトー・ド・シュノンソーをも贈りました。
芸術の保護者として
同時代の他のルネサンスの人物たちと同じように、ディアンヌも芸術の庇護者としての顔を持っていました。彼女はノルマンディー地方にある自らの居城シャトー・ダネ(Château d'Anet)の大規模な改修を行い、当時を代表する詩人ピエール・ド・ロンサールを保護するなど、文化の発展にも貢献しました。
失脚と晩年
しかし、アンリ2世の死後、ディアンヌの運命は一変します。宿敵であった王妃カトリーヌ・ド・メディシスによって宮廷から追放され、宝石やシュノンソー城を手放さなければなりませんでした。その代償として与えられたのは、ロワール川沿いのシャモン城でした。
こうして権力の座から退いたディアンヌは、かつて自らの手で改修させた愛着あるシャトー・ダネに隠棲し、66歳でこの世を去りました。華やかな栄光と転落の両極を経験した彼女の生涯は、今なお多くの人々を魅了し続けています。