歴史物語

ドクーもピーナッツバターもスリナムから――17世紀以来のオランダ語の歴史を記録した辞典

17世紀から続くスリナムのオランダ語、その全貌が初めて明らかに

これまで、17世紀以降のスリナムにおけるオランダ語の発展については、ほとんど何も知られていなかった。しかし、このほど刊行された『スリナム・オランダ語辞典 1667年〜1876年(Dictionary of Dutch in Suriname from 1667 to 1876)』が、その状況を一変させようとしている。語彙を収集したのは、今年初めに亡くなった生物学者ヤン・ファン・ドンセラール。編集の最終仕上げは、歴史言語学者ニコリーネ・ファン・デル・サイスが担った。

1667年、オランダ人はイギリスからスリナムを奪取し、そこへオランダ語も持ち込んだ。異なる植物や動物、食べ物、ライフスタイルに囲まれた新しい環境の中で、オランダ語は次第に自らを適応させていった。新たな複合語や派生語が生まれ、先住民の言語からも語が借用された。こうして誕生した言葉の数々を、ファン・ドンセラールは膨大な文書資料から収集したのである。

ファン・ドンセラールと親交のあったファン・デル・サイスは、彼の言語への情熱がどう芽生えたのかをこう説明する。「1950年代後半、彼は妻とともにスリナムへ渡り、現地の植生に関する学位論文のための資料集めを行いました。そこで彼は、オランダ本国では知られていない、まったく異なる植物名が使われていることに気づいたのです。それがきっかけとなり、他の言葉にも興味を抱くようになりました」。

歴史辞典としての到達点

1960年代に博士号を取得した後、再びスリナムを訪れたファン・ドンセラールは、スリナムのオランダ語に見られる、本国のオランダ語とは異なる語彙と意味を体系的に収集していった。その成果は1977年に『スリナム・オランダ語辞典』として出版され、1989年には拡充版が刊行された。これは海外のオランダ語変種に関する最初の辞典であり、彼はこの業、彼はこの業績により王立ネーデルラント芸術科学アカデミー(KNAW)からDe La Court賞を受賞している。

その後も彼は、さらに古い時代の語彙の収集を続けた。ファン・デル・サイスの説明によれば、「彼はスリナムで書かれた膨大な量のオランダ語テキスト、アーカイブ資料などを丹念に調べました。主に見ていたのは、私たちが知らない語や語義がどこで使われていたかということです」。

ファン・ドンセラールは生前、語彙リストを完成させることはできたものの、解説を含む序論を書き上げるには至らなかった。「年を重ねるうちに、自分自身で出版することはもうできないと悟り、私に出版を引き受けてくれるよう依頼してきました。いくつかの資料を残してくれていたので、辞典で使われている手法や用語を理解するために必要なデータをそこから汲み取りました。用語集には多くの略語が使われていたため、誰にとっても読みやすい版に仕上げました」とファン・デル・サイスは語る。

1989年の現代語辞典と本書を組み合わせることで、研究には新たな展望が開けるという。「数年前、私は1989年版の辞典をデジタル化しました。そのデータに、今回の歴史辞典の素材をSQLデータベースの形で加えます。二つの辞典を連携させ、マールテンス研究所のウェブサイトで公開する予定です。そうすれば研究者はさまざまな分析を行えるようになります。アフリカ大陸を除けば、これほど豊富な歴史的・現代的資料が揃っている海外の言語変種は事実上ありません。これは本当にユニークなことなのです」。

ピーナッツバターとかき氷

こうした資料の蓄積は、スリナム・オランダ語研究に大きな弾みをつける。ファン・デル・サイスは、いくつかの歴史的変化の例を挙げる。「社会が変わるにつれ、言葉が生まれ、ときには消えていくのが見て取れます。守られてきた言葉もあれば、ヨーロッパのオランダ語=母体言語へと逆輸入された言葉もあります。当時の話し言葉や文章の用例は少ないため、歴史辞典は主に単語レベルのものですが、現代の辞典には興味深い統語現象も見られます。その一部はオランダ本土へも戻ってきました。たとえば『イーース、いいよ』というように母音を長く引き伸ばす言い方です。今ではよく耳にする表現ですが、おそらくスリナム由来なのでしょう」。

「語彙の面では、特に食べ物の名前が数多くオランダへ渡りました。ロティやポムなどです。意外な例としてはピーナッツバターが挙げられます。実はこれはスリナムで生まれたものなんです。昔は砕いたピーナッツを固めた塊から、チーズを削ぐように薄切りを削いで食べました。だからこそ、英語のpeanut butter(ピーナッツバター)になぞらえて、ピーナッツチーズが『ピーナッツバター』と呼ばれるようになったのです。現在オランダで作られているものはバターのようなクリーミーな質感で、ヨーロッパ市場向けに特別に製造されたものです。しかしスリナムで元々作られていた本来のピーナッツバターは、固形状のブロックだったのです」。

「今ではスラングの中にもスリナム由来の言葉がたくさんあります。お金を意味するドクー(doekoe)は非常に有名な例ですね。この語はスラナン語(スリナムのクレオール語)にさかのぼりますが、スリナム・オランダ語でも使われています。スリナム・オランダ語にはスラナン語からの借用語が数多くあります。新造語の例としては、スプーンですくって食べる氷菓子を指す『シャーベッドアイス(削り氷)』があります」とファン・デル・サイスは読み上げる。「『シャーベッドアイスとは、削った氷にシロップをかけた軽食である』――ここでいうシロップ(stroop)は、スリナムではレモネード用の甘いシロップを意味します。つまり、スリナム人がオランダ語の単語を独自の用法で用いている好例なのです」。

多言語社会をつなぐオランダ語

スリナムでは、誰もが多言語環境の中で育つ。しかし人口集団がきわめて多様である分だけ、(スリナム)オランダ語が人々をつなぐ接着剤の役割を果たしている、とファン・デル・サイスは言う。「実際、オランダ語は万人に通じます。ただし変異もあります。ヨーロッパのオランダ語に近いスリナム・オランダ語を話す人もいれば、別の人――あるいは同じ人でも場面によって――は、スラナン語の影響を強く受けた言葉を話します」。

「オランダ語の民族ごとの変種については、これまでほとんど研究が行われてきませんでした。一方、オランダとフランデレン地域内の地域差については、私たちは多くを知っています。だからこそ私は同僚のスヘフ・バルビールスと合意し、SAND、MAND、FANDといった言語調査の一部をパイロットとしてスリナムで実施することにしました。スリナム・オランダ語に特徴的な統語的・形態論的・音韻的な現象は何か、そしてそれらが言語接触によるものなのか、自律的な変化によるものなのかを明らかにするためです。スリナム・オランダ語の研究が進んでこなかったのは、利用できる資料がこれまでごくわずかだったからです。しかしそれは今、大きく変わろうとしています」。

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