歴史物語

ロンドン最古の劇場「レッド・ライオン」の遺構を発見――ホワイトチャペルから初の物的証拠

ロンドンのホワイトチャペル地区で住宅の建て替え工事が進められていた際、考古学者たちが重大な発見をしました。発掘された遺構は、ロンドン最古の劇場として知られる「レッド・ライオン(Red Lion)」のものであるとみられています。この劇場の正確な所在地は長年謎に包まれてきましたが、今回の発見によって初めて具体的な手がかりが得られることになりました。

エリザベス朝時代最初の専用劇場

BBCなどの報道によると、レッド・ライオンはエリザベス朝時代において、演劇上演のために専用に建てられた最初の劇場です。1567年に建設されたとされ、シェイクスピアが活躍する以前からロンドンに劇場文化が根づいていたことを示す貴重な存在です。

レッド・ライオンについて現代に伝わる情報はごくわずかですが、その存在は当時の2つの訴訟記録(法的文書)によって裏付けられています。

  • 1つ目の文書(1567年):テントの周囲に木製の舞台(プラットフォーム)が設けられていたことが記されています。
  • 2つ目の文書(1569年):屋外の舞台と観客席を備えた興行の場として、「レッド・ライオン」という名の農家が言及されており、直径12.2メートルのテントに触れた寸法の記述も含まれています。

初めて出土した物理的証拠

一部の専門家は以前から、レッド・ライオンがホワイトチャペル付近に存在していたと主張してきました。しかし、これまで文献上の記録しかなく、物理的な証拠は一切確認されていませんでした。今回の発掘は、その存在を裏付ける初めての物的証拠となる可能性があり、イギリス演劇史の研究における重要な発見として注目を集めています。

なお、レッド・ライオンで上演された戯曲の大半、あるいはすべては失われたと考えられています。これは、当時の作品の多くが印刷物として出版されず、記録が後世に残らなかったことも一因です。