彼女こそが、「コールガール(call girl)」という言葉を生み出した女性である。マダム・クロードの人生は、華やかな表の世界と灰色の裏社会の狭間で育まれた、まさに実在の伝説だった。
2015年12月21日にこの世を去ってから6年、フランスで最も名高い売春斡旋業者の生涯が、Netflixの映画として映像化される。配信開始は4月2日だ。
葬儀に参列したのはわずか6人
本名フェルナンド・グルデ(Fernande Grudet)は、2015年12月21日、ヨーロッパの裏社会における「女王」の称号を携えたまま息を引き取った。しかし、その葬儀に参列したのはわずか6人だった。生前の彼女はタバコも酒もたしなまず、人生の出発点は聖書の戸別販売による稼ぎだったという。
「人がお金を払うのは、食事と愛の二つに対してです。私は料理が得意ではありませんでしたから」。こう語る彼女自身は、セックスにさほど価値を見出しておらず、「40歳を過ぎたらセックスはすべきではない」とまで公言していた。
もちろん、彼女の名を不朽のものにしたのは、1955年から1977年にかけて築き上げた国際的な顧客網だ。CIAと交渉役として協力していたという逸話や、カダフィ大佐に外交官向けの女性を提供していたとされる話も残されている。
自伝が明かす秘話の数々
自伝の中で彼女が明かした暴露話の一つに、夫に内緒で女優ジョーン・コリンズをスカウトしようとしたこと、そしてケネディ大統領がジャッキー似の「でももっと温かみのある」女性を求めていたことがある。
グルデは女性のスカウト場所を選ばなかった。良家の子女からソルボンヌの学生、大手ファッションショーのモデル、さらには街角や下町の娘たちまで。パリのマリニャン通り18番地にある本拠地に集う「クローデット(Claudettes)」たちは、当時のフランス政府要人やセレブたちのお気に入りだった。顧客リストには、JFK(ジョン・F・ケネディ)、マーロン・ブランド、グルーチョ・マルクス、レックス・ハリソン、フランク・シナトラ、パブロ・ピカソ、リビアのカダフィ大佐らの名前があるとされる。アリストテレス・オナシスもそのリストに含まれており、マダム本人はVanity Fair誌に対し「オナシスとマリア・カラスのカップルの要求はあまりにも病的で、私を赤面させた」と語ったという。もちろん、これらの話の真偽を確認する術はない。
「白鳥」と呼ばれた女性たち
彼女は自分の女性たちを「白鳥(swans)」と呼び、売春宿とネットワークに入る者には「完璧な」体型を求めた。そのため多くの女性は整形外科医の診察を受けることを余儀なくされた。これはクロード自身も同じで、1950年に「ピンクの」キャリアをスタートさせた頃に自ら手術を受けている。さらに女性たちは高度な文学の教育を受け、高価な服をまとった。合計で500人以上の女性を「育て」、その多くは自分の分野でキャリアを築けなかったモデルや若い女優たちだった。
グルデによれば、彼女の女性たちの報酬は今日の貨幣価値に換算すると一に換算すると一晩最大1万ユーロに達し、当時の料金を40フランから500フランへと引き上げていたという。多くの女性は「家」を出て大富豪のもとへと嫁いでいった。イランのシャー(国王)は毎週新しい女性をテヘランに送らせ、フィアットの王者ジャンニ・アニェッリは自らの乱交パーティーのために多数の女性を雇ったとされる。都市伝説では、CIAが将校の士気向上のために彼女の女性たちを利用していたともいわれる。
ジャーナリストが見た内部の基準
フランス人ジャーナリストのエリザベート・アンテビは、1975年にアンヌ・フロランタンとともに『Le Progrès de Lyon』紙のために行った取材の一環として、クロードのサークルへの潜入に成功した。彼女は、女性たちは「知的で、身長約1メートル65、黒髪」である必要があると記している。「クローデット」たちは、「マダム」の頭の中にある基準に従い、上流社会に好かれるためにこれらの条件を満たさねばならなかった。アンテビはまた、彼女のネットワークで働くほぼすべての女性が美容整形や手術を受けていたことも確認している。
英Daily Mail紙は、フランス内閣の半数以上が「クローデット」のベッドを渡り歩いていたと報じた。誇張かもしれないし、そうでないかもしれない。真実は永遠に謎のままだ。「マダム」はフランス閣僚の名前を公表することはなく、発言を通じて彼らを「描写」しただけだったからだ。
真偽の定かでない経歴
1994年にフランスで出版された伝記『Madam』によれば、彼女はロワール渓谷に生まれ、修道院で育ちそこで純潔の誓いを立て、戦争中のレジスタンス活動により強制収容所に送られたという。腕には囚人番号が刻まれていたともいう。しかし、2010年にフランスのテレビで放送されたドキュメンタリーの制作陣は「嘘、すべて嘘だ。彼女は自分の頭の中で全部作り上げたのだ」と主張した。一方、悪名高いプレイボーイのタキ(テオドラコプロス)氏――彼女の忠実な顧客の一人――は、その入れ墨を自分の目で見たと証言している。
彼女をよく知るジャーナリストたちは、彼女が収容所に送られたのはレジスタンス活動のためではなく、ユダヤ系の出自ゆえだったと主張している。
亡命、逮捕、そして転落
ヴァレリー・ジスカル・デスタンがフランス大統領となり、高級売春の取り締まりに乗り出すと、マダム・クロードは1977年にロサンゼルスへ逃れた。しかし大西洋の向こう側で新たな売春宿を立ち上げようとする試みは失敗に終わった。1985年、フランソワ・ミッテラン政権下で帰国が許可されたが、今度は脱税で逮捕され、4ヶ月間を刑務所で過ごした。その後旧業に戻ったものの、従業員の告訴により法廷に立たされ、有罪となって再び数ヶ月間投獄された。
二度の映画化
彼女の生涯は1977年にも映画化され、フランソワーズ・ファビアンが主演を務めた。今回のNetflix作品の監督はシルヴィ・ヴェルヘイド(Sylvie Verheyde)、「マダム」役はカロル・ロシェ(Karole Rocher)が演じる。ロシェの実の娘二人も共演している。
特筆すべきは、監督ヴェルヘイドが『Le Monde』紙に語った言葉だ。彼女の母親でさえ、悪名高いこの斡旋業者を成功の手本と見なしていたという。「当時、成功を収められた女性は多くありませんでした。マダムは男性が支配する世界でのし上がった。それが彼女を、評判とは裏腹に、多くの人にとって成功のモデルにしたのです」と彼女は語っている。
新作のフランス伝記ドラマは、マダム・クロードの売春宿が最も栄華を極めていた時代を描く。マダム・クロードは当時のエリート層や裏社会との独自の人脈ネットワークを築き上げていた。撮影は2019年、シルヴィ・ヴェルヘイド監督のもと、パリおよびパリ近郊の複数のロケーションで行われた。
なお、映画には3人の男による衝撃的な虐待シーンが含まれているが、それが実際の出来事に基づくものかどうかは明らかにされていない。