歴史物語

皇帝ティベリウスの秘密――カプリ島に隠されたエロティック絵画コレクション

皇帝ティベリウスの秘密――カプリ島に隠されたエロティック絵画コレクション

カプリ島のティベリウス(フランスの版画)。皇帝は度重なる乱宴の中で、私室に秘蔵していたエロティックな絵画コレクションから着想を得ていたとされる。

歴史家たちが語るティベリウスの悪評

ローマ皇帝ティベリウスは、冷酷で残虐、しかも極度の守銭奴だったと伝えられているが、それだけではない。スエトニウスをはじめとする古代ローマの歴史家や作家たちは、この皇帝に対してあらゆる悪徳を惜しげもなく書き記しており、その中には倒錯的な性癖についての記述も含まれている。

スエトニウスの著書『ローマ皇帝伝』は、皇帝たちの私生活や奇行を生き生きと描いたことで知られるが、その信憑性には宮廷の噂話が混じっているとも言われている。とはいえ、複数の史料が同様の逸伝を伝えていることから、当時の人々がティベリウスに抱いていたイメージがいかに強烈なものであったかがうかがえる。

カプリ島の私室に集められた「参考作品」

特にスエトニウスによれば、ティベリウスは晩年の多くを過ごしたカプリ島の壮麗な邸宅において、ギリシャ工人による貴重で洗練されたエロティックな絵画コレクションを私室に集めていたという。

もちろん、その目的は芸術への純粋な愛ではなかった。彼が好んで「興じた」とされる頻繁な乱宴の場において、これらの絵画からインスピレーションを得るためであったと伝えられている。

公的には質素で厳格な統治者の顔を見せながら、隠棲先の島では別人のように振る舞ったというティベリウス。権力の頂点に立った男の表裏一体の姿を今に伝える逸話として、この記録は後世まで語り継がれることとなった。