
フランチェスコ・モンテメッツァーノ作「ハンカチと小犬を伴う座る貴婦人の肖像」
現代のような使い方は、実はごく最近のこと
風邪をひいたときや急なくしゃみの際に鼻をかむ――今日私たちが当たり前のように使っているハンカチのこの用途は、驚くほど新しいものです。
その起源はわずかに前世紀にさかのぼる程度。衛生に関する規則が厳格化し、社会全体に広く浸透した時代になって初めて、現在のような使われ方が定着しました。
それ以前のハンカチは、正方形に近い一枚の布でありながら、主に装飾的な目的で用いられていました。
古代ギリシャ・ローマでは「マップラ」と呼ばれた
実は古代ギリシャや古代ローマの時代からすでにハンカチは存在しており、「マップラ(mappula)」という名で知られていました。
これは要するにナプキンのことで、宴席に赴く際に携帯し、料理の残りを持ち帰るときに重宝したのです。
また古代ローマでは、剣闘士競技の開始の合図として、執政官(コンスル)がこのマップラをアリーナへ投げ入れたことでも有名です。
中世から17世紀:華やかだが実用性のない飾り物
中世に入っても状況はほとんど変わらず、何世紀にもわたりハンカチは、華やかではあってもあまり役に立たない単なる飾り物であり続けました。
自分の名前のイニシャルを刺繍してハンカチをパーソナライズする習慣が生まれたのは、1600年代のことです。
18世紀:「誘惑の武器」へと変貌
ところが1700年代に入ると、ハンカチはほとんど「誘惑の武器」へと姿を変えます。
袖やポケット、そしてたっぷりとした胸元から、まるで魔法のように取り出されるハンカチ。できれば高価な刺繍を施した上質な布地で仕立てられ、必要あらば、美しくも悲しげな貴婦人の頬を伝う涙をぬぐうために使われたのです。
19世紀になっても鼻をかむのは「袖の中」
そしてなんと19世紀においても、鼻をかむときの定番の方法は相変わらず、着ている服の袖や裾に顔をうずめるというものでした。今では考えられない習慣ですが、ハンカチが日用品になるには、もう少し時間が必要だったのです。