歴史物語

中世の食卓に並んだ鶴――1300年代のキッチンと古のレシピ

中世の食卓に並んだ鶴――1300年代のキッチンと古のレシピ

1300年代のヨーロッパのキッチンでは、鶴が非常に人気の高い食材でした。今日では想像も及ばないかもしれませんが、中世の食卓にとって鶴はごく身近なごちそうだったのです。

時代とともに変わる「食の好み」

食の嗜好は、各民族の文化と密接に結びついており、他のあらゆるものと同じように、時代とともに深く変化してきました。

だからこそ、過去の世紀には、今日私たちが(決して間違いではなく)グロテスクだと感じるような料理を口にすることが、まったく普通の、むしろ好まれた習慣だったとしても、何ら不思議ではありません。

13世紀トスカーナの料理書『料理の書』

有名な『料理の書(Libro de cocina)』は、13世紀半ばに遡る匿名のトスカーナのレシピ集です。この本には数々の料理法が記されていますが、そのひとつに、中世で大変人気のあった鳥である鶴の調理法があり、その風味を存分に楽しむためのコツが詳しく紹介されています。

鶴の調理手順

まず、鳥をきれいに下ごしらえした後、大きな釜で茹でます。次に串に刺して炙り焼きにしますが、ここで重要なのは、完全には火を通さないという点でした。

続いて、一種の「ソース」を作ります。みじん切りにした玉ねぎ2個ほどをたっぷりのラードで炒め、当時貴重品だったサフランを振りかけて香りを添えます。

さらに「良質なワイン」を加えたところへ、食べやすい大きさに切り分けた鶴肉を投入し、すべてをじっくりと煮込めば完成です。

パンが皿の代わりだった中世の提供スタイル

最後を飾るのは、この料理ならではの独特な盛り付けでした。鶴肉の一切れずつを、同じ煮汁に浸して柔らかくしたパンのスライスの上に載せて供したのです。中世ではしばしば、パンそのものが皿の役割を果たしていました。肉の旨味を吸ったパンまで味わう、まさに無駄のない中世流の一皿といえるでしょう。