歴史物語

リンゴは本当にニュートンの頭に落ちたのか?万有引力発見の逸話の真相

リンゴは本当にニュートンの頭に落ちたのか?万有引力発見の逸話の真相

木から落ちたばかりのリンゴを見つめ、思索にふけるアイザック・ニュートン

誰もが知る「リンゴの物語」

学校に通い始めたばかりの子どもから大人まで、ほとんどすべての人が知っているのが「リンゴの逸話」である。枝から偶然落ちたリンゴが学者アイザック・ニュートンの頭に当たり、それがきっかけとなって万有引力の法則――科学史上まさに革命とも呼べる大発見――が生まれたという話だ。

しかし、これは本当に史実なのだろうか。それとも、ここ数世紀にわたってほぼそのままの形で語り継がれてきた、人気の高い伝説にすぎないのだろうか。

ニュートン自身が語った「真実の粒」

結論から言えば、逸話の細部――リンゴが頭に直撃したという劇的な場面など――は後世の創作である。しかし、こうした話によくあるように、その根底には真実の粒が確かに存在する。しかも、それを裏付けているのは他ならぬニュートン自身なのである。

ニュートンは晩年、考古学者として知られるウィリアム・ストゥークリーに対し、重力という概念が「リンゴが木から落ちる」というごく平凡な出来事から着想を得たものだと自ら語った。この貴重な証言は、ストゥークリーが著した回想録の中に記録されており、今日まで私たちに伝えられている。

リンゴの落下が示したもの

リンゴは常に垂直方向に落ちる。水平に飛んだり、空へ向かって浮き上がったりすることは決してない。この一見当たり前の観察こそが、地球がその表面に存在する物体や人間を引きつける引力の法則の存在を雄弁に示唆していたのである。

法則の宇宙への拡張

ニュートンはこの考えをさらに押し進め、地上の現象にとどまらず宇宙全体へと法則を拡張していった。地球と月の関係にも同じ引力が働くことを示し、さらにケプラーの法則を手がかりに、この引力の強さが物体間の距離の二乗に反比例すること――いわゆる「逆二乗則」――をも見事に証明してみせたのである。