
時代ごとに、その時代ならではのファッションが存在します。
フランス革命が残した「奇妙な禁令」
フランス革命は、ズボンや短い髪型が広まった時代として記憶されていますが、同時に、現代の私たちから見ると少々奇異に思えるさまざまな「禁止事項」が生まれた時期でもありました。
その一例が、白粉(フェイスパウダー)の使用禁止です。それまで白粉は、顔を美しく整えるためだけでなく、かつらを白く見せるためにも、ほとんど病的なほど熱心に使われてきました。18世紀のヴェルサイユ宮殿では、真っ白な粉をふりかけたような髪型が貴族たちの間で大流行していたのです。
禁止の背景にあったのは「政治」
この決定の動機は、もちろん政治的なものでした。当時の白粉の原料には小麦粉が使われており、飢えに苦しむ民衆の食料となるべき小麦粉が、貴族たちの見栄のために「民衆から奪われている」と強く批判されたのです。
こうして白粉は「反社会的な製品」とみなされるようになり、革命の波とともに貴族社会の化粧文化から姿を消していきました。ファッションの流行ひとつをとってみても、その背後には時代の社会情勢や政治的緊張が色濃く反映されていたのです。