避妊薬がもたらしたセクシュアリティの「革命」とは
避妊薬の登場は、セクシュアリティをめぐる社会観に大きな革命をもたらしました。それまで生殖のためだけのものと考えられていた性行為が、より自由なものへと変わり、人々の生活や家族のあり方にも深い影響を与えることになったのです。
19世紀末、機械的な避妊具から始まった歴史
避妊の試みは、19世紀の終わりにゴム製のコンドームやペッサリー(子宮帽)といった機械的な避妊具の普及から本格的に始まりました。これらは当時としては画期的な存在でしたが、やがて技術の進歩とともに、より高度な方法へと発展していきます。
その到達点となったのが、ホルモンを利用した合成製剤、すなわち経口避妊薬(ピル)です。ピルは女性自身が主体的に避妊できる手段として、それ以前の避妊法とは一線を画すものでした。
アメリカで誕生し、イタリアへは10年遅れて
経口避妊薬は1956年にアメリカ合衆国で特許を取得しました。その後、1960年にはFDA(米国食品医薬品局)の承認を受けて一般に広まり、「ピル」は20世紀で最も影響力のある発明の一つとされるようになりました。
一方、イタリアにピルが上陸したのは1964年になってからのことでした。しかも当時は、ロッコ法典(1930年制定の刑法)のある条文によって避妊目的での使用が禁じられていたため、治療目的でのみ処方が認められるという限定的な扱いでした。
1971年、ついに「自由化」へ
ピルが本来の目的である避妊薬として自由に使えるようになるには、さらに時間が必要でした。1971年、前述の規定が正式に廃止され、ようやくピルの「自由化」が実現します。この動きは、女性の自己決定権や生殖に関する権利を巡る議論が欧州全体で高まっていた時代の流れとも重なり、社会的な転換点として位置づけられています。