オレンジゼリー——19世紀イタリアの食卓に欠かせなかった、上品で爽やかなデザートです。
アルトゥージの「フロスト・オレンジゼリー」とは
今回ご紹介するのは、イタリアの美食家ペッレグリーノ・アルトゥージによる名著『台所の科学と食卓の芸術』(La scienza in cucina e l'arte di mangiar bene)に収録されたレシピです。
紹介するのは、「霜(フロスト)のオレンジゼリー」という一品。オレンジとレモンの果汁に、アルケルメスとラム酒の香りを添えた、当時の洗練されたデザートです。
材料
- 砂糖:150g
- ゼラチン(にら):20g
- 水:4デシリットル(400ml)
- アルケルメス:大さじ4
- ラム酒:大さじ2
- 大きな甘いオレンジ:1個
- レモン:1個
※アルケルメスは、イタリアの伝統的な赤色リキュールです。手に入らない場合は、カシスリキュールなどで代用できます。
作り方
以下、原文の内容に沿ってご紹介します。
- ゼラチンを水に浸し、途中で一度水を替えながら、1〜2時間ほど置いて柔らかくします。
- 砂糖を先ほどの水の半量で10分間煮立て、布で濾してシロップを作ります。
- オレンジとレモンを絞り、その果汁をシロップに加え、同じ布でもう一度濾します。
- 柔らかくなったゼラチンを取り出し、残りの水2デシリットルで煮溶かして、こちらもシロップに加えます。
- アルケルメスとラム酒を加えて全体を混ぜ、冷め始めたら型に流し入れます。夏は氷の上に、冬は冷水の中に型を置いて冷やすのがコツです。
美しく仕上げるための型の工夫
この種のデザートに使われる型は、すべて銅製で装飾的な突起が付いています。中央に穴が開いているものと開いていないものがあり、テーブルに載せたときの見栄えを考えて使い分けられていました。
きれいに脱型するためのコツは二つ。生地を流し込む前に、型の内側に薄く油を塗っておくこと。そして脱型の際は、型を熱湯に一瞬浸けるか、熱した布で拭くことです。こうすることで、突起の模様まで美しく再現されたゼリーが完成します。
アルトゥージからのひとこと
最後に、原文にあるアルトゥージの言葉をご紹介します。
「にら(魚由来のゼラチン)は体に害はないものの、胃に少し重くのしかかるという欠点がある。」
現代では消化の良い粉ゼラチンや板ゼラチンが手軽に入手できるので、気になる方はそちらに置き換えるとよいでしょう。基本の配合と手順はそのままに、今のキッチンで再現できる古典レシピとしてぜひお試しください。