歴史物語

ツタンカーメン王が好んだ色は何ですか?黄金と青に秘められた古代エジプトの色彩観

ツタンカーメン王自身がどの色を好んでいたのかを示す決定的な答えは、実は存在しません。古代エジプトには王の個人的な「好きな色」を記録した文献が残されておらず、この問いに対して明確な正解を提示することはできないのです。

しかし、墓からは「色」の手がかりが見つかる

個人的な好みは不明であるものの、1922年にハワード・カーターによって発見されたツタンカーメンの墓からは、鮮やかな色彩を放つ数々の副葬品が出土しました。その中でも特に目を引くのが、次のような色合いです。

  • 黄金(ゴールド):有名な黄金のマスクをはじめ、棺や宝器の多くにふんだんに使用されました。
  • ラピスラズリの青:黄金のマスクの頭巾部分などにちりばめられた深い青色で、当時最高級とされた宝石のひとつです。
  • ターコイズやカルセドニー:緑がかった青や淡い色合いが、装飾に繊細なアクセントを添えています。

古代エジプトにおける色の象徴的な意味

これらの色が選ばれた背景には、単なる美意識ではなく、深い宗教的・象徴的な意味がありました。

黄金=神々の肉体

古代エジプトでは、黄金は「神の肌の色」とみなされ、不死と永遠を象徴する神聖な金属とされていました。王が来世において神と同一視されるようにとの願いを込め、黄金が惜しみなく使われたのです。

青=守りと再生の色

ラピスラズリに代表される青は、空と水を表し、創造と再生の力を持つ色と信じられていました。同時に、邪悪な力から身を守る護符としての役割も果たしていたといわれています。

まとめ:好みは不明でも、「色」は王の世界観を語る

ツタンカーメン王が個人的に好んだ色を特定することはできません。しかし、その墓を飾る黄金と青の輝きは、彼個人の趣味というよりも、古代エジプト人たちが抱いた永遠への願いと信仰心を色鮮やかに伝えています。もし「王を象徴する色」を挙げるとすれば、それは神聖さを表す黄金と、再生を意味する青だと言えるでしょう。