1812年の戦争で生まれた伝説のあだ名
米海軍のフリゲート艦「USS コンスティテューション(USS Constitution)」が「オールド・アイアンサイズ(Old Ironsides/古き鉄の舷側)」という有名な愛称で呼ばれるようになったのは、1812年に始まった米英戦争、いわゆる「1812年の戦争」のときです。
HMSゲリエール号との海戦
1812年8月19日、コンスティテューションは大西洋上でイギリス海軍のフリゲート艦「HMS ゲリエール(HMS Guerriere)」と交戦しました。この海戦において、イギリス軍が発射した砲弾が同艦の分厚いオーク材(ナラ材)の船体に当たると、まるで鉄の壁にはじかれたように跳ね返っていく光景が目撃されました。
その場にいたイギリス人の水兵は、驚きのあまりこう叫んだと伝えられています。
「万歳! この船の舷側は鉄でできているぞ!(Huzza! Her sides are made of iron!)」
この一言こそが、世界で最も有名な軍艦のあだ名の一つとなった「オールド・アイアンサイズ」の起源です。
なぜ砲弾ははじき返されたのか
コンスティテューションの船体には、極めて硬く密度の高いライブオーク(アメリカンチョウセンガヤ)やホワイトオークがふんだんに使用されていました。船体の厚みは場所によって約50センチメートルを超え、設計者ジョシュア・ハンフリーズによる補強構造とも相まって、当時の木造軍艦の中でも際立って頑丈な艦だったのです。
この圧倒的な耐久性により、同艦は1812年の戦争を通じて数々の海戦を勝ち抜き、「打たれても沈まない船」としてその名を轟かせました。
今も現役で活躍する「オールド・アイアンサイズ」
1830年には老朽化のため解体の噂が流れましたが、詩人オリバー・ウェンデル・ホームズが詩作「Old Ironsides」を発表したことで世論が沸騰し、保存運動へと発展しました。こうして国民的な愛称として定着したのです。
1797年に進水したコンスティテューションは、現在も現役艦として海上自衛隊…ではなく、米海軍に在籍する世界最古の就役軍艦です。マサチューセッツ州ボストンのチャールズタウンに係留され、「オールド・アイアンサイズ」の名とともに、200年以上の時を超えて多くの人々に親しまれ続けています。