カナダ銀行が発行している現在の5ドル紙幣には、カナダ第7代首相であるサー・ウィルフリッド・ローリエ(Sir Wilfrid Laurier)の肖像が描かれています。
ときどき「5ドル紙幣の人物はロバート・ボーデン卿ではないか」という誤解を目にしますが、これは正しくありません。ボーデン卿(第8代首相)が描かれているのは100ドル紙幣の方です。5ドル紙幣の肖像は、あくまでローリエ卿です。
ウィルフリッド・ローリエとはどんな人物?
ウィルフリッド・ローリエ(1841年~1919年)は、1896年から1911年までの約15年にわたりカナダの首相を務めた政治家です。主な功績は以下のとおりです。
- カナダ史上初のフランス系カナダ人首相
- 英語圏とフランス語圏の橋渡し役として「偉大なる調停者」と称された
- 在任中の1905年にサスカチュワン州とアルバータ州が連邦へ加盟
- 鉄道網の拡大と移民の受け入れにより、国家の急速な発展を推進した
こうした実績から、ローリエはカナダ建国期を代表する指導者の一人とされています。
なぜ5ドル紙幣に選ばれたのか?
カナダ銀行には、紙幣の肖像に歴代首相の中から特に重要な人物を選ぶという伝統があります。ローリエが5ドル紙幣の顔となったのは1971年発行の「Scenes of Canada(カナダの風景)」シリーズからで、それ以降の「Birds of Canada(1986年)」「Canadian Journey(2001年)」、そして現行のポリマー紙幣「Frontier(2013年)」シリーズに至るまで、一貫して採用され続けています。
参考までに、近年のカナダの紙幣と肖像の対応は以下のとおりです。
- 5ドル:ウィルフリッド・ローリエ(第7代首相)
- 10ドル:ヴァイオラ・デズモンド(2018年以降。それ以前は初代首相ジョン・A・マクドナルド)
- 20ドル:エリザベス女王
- 50ドル:ウィリアム・L・マッケンジー・キング(第10代首相)
- 100ドル:ロバート・ボーデン(第8代首相)
各額面には、歴史的な功績や象徴性に応じて人物が割り当てられており、ローリエは5ドル紙幣の顔として長く定着しているのです。
現行5ドル紙幣のデザイン
2013年発行のポリマー製5ドル紙幣では、表面中央にローリエの肖像が大きく配され、同じ肖像が透かしとしても施されています。裏面には国際宇宙ステーションで活躍するカナダアーム2やデクストレといった宇宙開発関連のイメージが描かれ、カナダの科学技術への貢献がテーマとなっています。
まとめ
カナダの5ドル紙幣にローリエ卿が描かれているのは、彼がカナダの発展期を牽引した首相であり、英語圏とフランス語圏の統合の象徴的な存在だからです。「5ドル紙幣はボーデン卿」という情報は誤りなので、ボーデン卿は100ドル紙幣に登場することを覚えておきましょう。