オルダス・ハクスリーの小説『すばらしい新世界』(Brave New World)では、文明から隔離された「保留地(リザベーション)」に対する反応が、登場人物や社会によって大きく異なります。本作のテーマを深く理解するうえで重要な、それぞれの視点を整理して紹介します。
バーナード・マルクス:相反する感情
主人公の一人であるバーナード・マルクスは、保留地に対して複雑な心境を抱いています。高度に管理され、秩序化された「世界国」の生活と比べると、保留地の暮らしは原始的で混沌としていると感じる一方で、そこに存在する多様性や自由――個人の自由や人間関係の自由など――に強い魅力を覚えています。
レニナ・クラウン:嫌悪感を抱く
バーナードの同行者であるレニナ・クラウンは、世界国社会の画一性と条件づけを体現するキャラクターです。彼女にとって保留地は、老いや病気、伝統的な家族構造が存在するため、不潔で原始的、そして道徳的に忌むべき場所に映ります。これらはすべて、彼女の世界における「管理された幸福」とは正反対のものだからです。
野蛮人ジョン:二つの世界のはざまで
保留地で育った部外者であるジョンは、自身の育ちと世界国の規則・価値観との衝突を経験します。当初は世界国が提供する快適さや享楽に惹かれるものの、感情の抑圧、プライバシーの欠如、自然とのつながりの喪失を目の当たりにするうちに、深い動揺と拒絶を感じるようになります。
世界国社会:無関心と一部の理解
一般的に、世界国の大多数の市民は保留地の存在に関心を示さず、その存在自体を知らないことさえあります。幼少期から受ける条件づけによって、疑問を持たずに与えられた役割を果たすことに集中するよう作られているのです。一方で、世界統制官ムスタファ・モンドのように、保留地が自らの社会との対比として管理される必要性を理解している者も存在します。
まとめ:作品が投げかける問い
『すばらしい新世界』における保留地への反応は、単なる物語の背景にとどまらず、統制の問題、社会の均一性、個人と共同体の幸福の対立、そして何が社会的に許容され、望ましいとされるのかという境界線について、読者に深い考察を促す重要な仕掛けとなっています。