アジアの歴史

インダス文明の人々は誰を崇拝していた?母なる女神とパシュパティ信仰の謎

インダス文明(インダス川流域文明)は、紀元前2600年頃から紀元前1900年頃にかけて南アジアで栄えた高度な都市文明です。当時の文字がまだ解読されていないため、人々の宗教観については出土品からの推測に頼らざるを得ませんが、考古学的な発見から、彼らが崇拝していた主な対象が明らかになっています。

インダス文明の主な崇拝対象

インダス文明の人々が崇拝していた中心的存在は、母なる女神(マザー・ゴッデス)とパシュパティであると考えられています。この2つの存在は、インドの一般知識試験や公務員試験でも頻出の重要トピックです。

母なる女神(マザー・ゴッデス)

モヘンジョダロやハラッパーなどの主要遺跡からは、多数の素焼き(テラコッタ)製の女性像が出土しています。これらは豊穣と多産を司る「母なる女神」を表していると解釈されており、各家庭において崇拝が行われていたと考えられています。

パシュパティ(原初のシヴァ)

モヘンジョダロから発見された有名な印章には、瞑想の姿勢で座り、周囲をトラや象、犀などの動物に囲まれた三面の男性像が描かれています。この像は「動物の主」を意味するパシュパティと呼ばれ、後のヒンドゥー教におけるシヴァ神の原型ではないかとされています。

その他の信仰対象

  • 自然崇拝:太陽、火、水などの自然現象も崇拝の対象でした。
  • 神聖な動物:瘤牛(ゼブ牛)や一角獣のような神話的な動物が印章に数多く描かれています。
  • ピパル(菩提)樹:神聖な樹木として崇拝されていた痕跡が確認されています。
  • 火の祭壇:カリバンガン遺跡では、火を用いた祭祀の証拠が発見されています。

まとめ

興味深いことに、インダス文明からは寺院と呼べる大規模な宗教建築物が見つかっていません。そのため、宗教儀礼は主に家庭内や屋外で行われていたと推測されています。母なる女神とパシュパティへの信仰は、後のインドの宗教文化にも大きな影響を与えたと考えられており、インダス文明の精神世界を理解する上で欠かせない要素となっています。