1861年から1865年にかけて行われたアメリカ南北戦争の時代、奴隷とされていたアフリカ系アメリカ人は、一般的に「奴隷(slave)」や「ニグロ(negro)」といった言葉で呼ばれていました。現在では広く定着している「アフリカ系アメリカ人(African American)」という呼称が社会に浸透したのは、20世紀に入ってから のことです。
戦争中に使われたその他の呼称
南北戦争の最中には、連邦軍(北軍)の支配下へ逃れた元奴隷たちを指して、「戦争捕獲物(contrabands of war)」と呼ぶこともありました。また、「有色人種(colored people)」という表現も当時よく見られた言葉の一つです。
現代における適切な表現とは
歴史上の用語や言葉遣いは、その時代の社会的な姿勢や偏見を色濃く反映している点に留意することが重要です。今日では、南北戦争期のこの人々について語る際には、「奴隷にされたアフリカ系アメリカ人」あるいは「奴隷にされた人々(enslaved people)」という表現が一般的に好まれています。
これらの表現が推奨される理由は、対象となる人々を単なる所有物としてではなく、一人の人間として捉えることを強調できるためです。同時に、彼らが強制的に置かれていた抑圧的な制度そのものにも目を向けさせる効果があります。つまり、人そのものではなく、人を縛っていた制度に「奴隷」というレッテルを貼り直すことで、より敬意ある歴史描写が可能になるのです。