北米の歴史

アメリカ初の労働組合を設立したのは誰?サミュエル・ゴンパーズとAFLの歴史

アメリカ労働運動の父、サミュエル・ゴンパーズ

アメリカにおける最初の全国的な労働組合組織「アメリカ労働総同盟(AFL)」を設立したのは、サミュエル・ゴンパーズ(Samuel Gompers)です。1886年、彼はオハイオ州コロンバスにおいてこの組織を創設し、以後数十年にわたりアメリカ労働運動の中心的指導者として活躍しました。

ゴンパーズの経歴

ゴンパーズは1850年にロンドンのユダヤ系移民の家庭に生まれ、少年時代に家族とともにアメリカへ移住しました。ニューヨークで葉巻職人として働きながら労働運動に身を投じ、その卓越した交渉力と指導力によって頭角を現していきました。

熟練職人を支えたAFLの理念

アメリカ労働総同盟は、熟練職人(技能労働者)を中心とした職種別組合の連合体として出発しました。産業全体を一括して組織するのではなく、各職種ごとの専門性を持つ組合が連携する形を採った点が大きな特徴です。

ゴンパーズは「パンとバター」主義と呼ばれる現実的な路線を提唱し、賃金の引き上げ、労働時間の短縮、労働条件の改善といった具体的な利益の獲得を最優先としました。この実務的な姿勢は多くの労働者の支持を集め、AFLは20世紀初頭にはアメリカ最大の労働組織へと成長します。

AFLの歴史的意義

AFLは1955年に産業別組合を主体とするCIO(産業別労働組合会議)と合併し、現在のAFL-CIOへと発展しました。ゴンパーズが築いた組織の基盤は、今日のアメリカ労働運動にも受け継がれており、彼は「アメリカ労働運動の父」と呼ばれています。