「40エーカーとラバ(Forty Acres and a Mule)」という約束は、アメリカ南北戦争(1861年〜1865年)後に始まったレコンストラクション(南部再建)時代において、解放奴隷、すなわちかつて奴隷として扱われていたアフリカ系アメリカ人に対してなされたものです。
約束の背景
1865年1月、ウィリアム・T・シャーマン将軍は「特別野戦命令第15号(Special Field Order No. 15)」を発布しました。これにより、サウスカロライナ、ジョージア、フロリダの沿岸部にあった放棄された土地が、解放奴隷の家族に40エーカーずつ分配されることになりました。この土地は、もともと奴隷制経済を支えていたプランテーションから没収または放棄されたものであり、自由を得たばかりの人々の自立の基盤として期待されていました。
約束は果たされたのか
しかし、この政策は長くは続きませんでした。リンカーン大統領の暗殺後に就任したアンドリュー・ジョンソン大統領は、これらの土地を旧南軍側の白人所有者へ返還する方針を打ち出し、多くの解放奴隷はせっかく手にした土地を手放さざるを得なくなりました。
こうして「40エーカーとラバ」は実現しなかった国家の約束として歴史に残り、今日でもアメリカにおける人種的公正や賠償(reparations)をめぐる議論の象徴的な存在となっています。