1776年、アメリカに公式な首都は存在しなかった
1776年当時、アメリカ合衆国には公式な首都は存在しませんでした。この年は独立宣言が採択された歴史的な年ですが、国そのものがまだ誕生したばかりであり、国家体制も未整備だったためです。建国初期のアメリカには、恒久的な首都を定めるための合意や制度がまだ確立されていなかったのです。
首都に最も近い役割を果たした都市:フィラデルフィア
その時代において、首都に最も近い機能を担っていたのは、ペンシルベニア州のフィラデルフィアでした。同市は大陸会議の開催地として機能していました。
大陸会議とは、アメリカ独立戦争中にイギリス支配下の13植民地を統括した政治機関です。1776年7月4日には、この地でトーマス・ジェファーソンらによって起草された独立宣言が採択されました。つまり、実質的な政治の中心地として、フィラデルフィアが首都的な役割を果たしていたのです。
戦乱の中で移りゆく首都機能
独立戦争の混乱期には、状況に応じて首都機能が他の都市へ一時的に移されることもありました。イギリス軍の脅威に直面した際には、ボルチモア、ランカスター、ヨークなどが一時的な政府所在地となっています。
ワシントンD.C.への道のり
独立後も恒久的な首都の場所をめぐっては北部と南部の対立が続き、最終的に1790年、ポトマック川沿いに新首都を建設することが妥協案として決定しました。こうして建設されたのが現在のワシントンD.C.であり、1800年に連邦政府の機能が正式に移転し、今日に至るアメリカの首都が確立されたのです。