1949年の独立以来、イスラエルは周辺アラブ諸国との戦争や停戦協定、和平合意などを通じて、実効支配する領域を段階的に拡大してきました。なかでも決定的な転換点となったのが1967年の第三次中東戦争(六日間戦争)です。この戦争でイスラエルはヨルダン川西岸、ガザ地区、シナイ半島、ゴラン高原を占領し、戦後まもなく東エルサレムを事実上併合するとともに、占領地でのユダヤ人入植地の建設を開始しました。
その後、シナイ半島は1982年、エジプトとの平和条約に基づき返還されました。また2005年には、イスラエルはガザ地区から入植者と軍隊を一方的に撤退させています。一方、ヨルダン川西岸とゴラン高原については今日まで支配を続けており、これらの地域の帰属問題は、イスラエル・パレスチナ紛争において依然として最大の争点となっています。
イスラエルの領土変遷 年表
1949年:独立と国際承認
- イスラエルが独立を果たし、国連に加盟する。
- 第一次中東戦争が休戦協定により終結し、イスラエルは1947年の国連パレスチナ分割決議で当初割り当てられた面積よりも広い地域を実効支配する。
1956年:第二次中東戦争(スエズ危機)
- エジプトによるイスラエル船舶への攻撃やスエズ運河の国有化を受け、イスラエルがエジプトに侵攻し、シナイ半島を一時占領する。
- 米国と国連の強い圧力により、イスラエルはエジプト領内から撤兵する。
1967年:第三次中東戦争(六日間戦争)
- イスラエルがエジプト、シリア、ヨルダン、イラクなどと開戦し、わずか6日間で圧勝する。
- ヨルダン川西岸、ガザ地区、シナイ半島、ゴラン高原を占領。東エルサレムを含む地域を実效支配下に置く。
- 戦後、占領地における入植地の建設が本格的に始まる。
1980年代〜2000年代:返還と撤退の時代
- 1982年:エジプト・イスラエル平和条約に基づき、シナイ半島全域をエジプトに返還する。
- 1994年:ヨルダンと平和条約を締結し、関係を正常化する。
- 2005年:ガザ地区から入植地と軍を一方的に撤退させる(ガザ撤退)。
占領地の地位をめぐる対立
イスラエルはヨルダン川西岸とガザ地区を「係争地域」とする立場を主張する一方、パレスチナ側はこれらを「占領された領土」であり、将来のパレスチナ国家の一部となるべきだと主張しています。国連安全保障理事会は、イスラエルに対し占領地からの撤退などを求める複数の決議を採択してきましたが、イスラエルはこれに従っていません。米国も撤退を促してきましたが、イスラエルはこの圧力にも応じず、独自の立場を貫いています。
このように、イスラエルの実効支配地域は建国時の国境から大きく変容してきました。今後の中東和平交渉や国際情勢の動向次第で、領土をめぐる状況はさらに変化する可能性があり、中東の安定を左右する最重要テーマの一つであり続けています。