アメリカ合衆国は1973年にベトナム戦争における戦闘任務を公式に終了しました。しかし、1970年の時点においても、アメリカ軍は依然としてベトナム国内に駐留しており、主に支援任務に従事していました。この時期のアメリカ軍の関与は、戦争最盛期と比べて大幅に縮小されていたものの、戦局に重要な役割を果たし続けていたのです。
1970年のアメリカ軍の主な活動
1970年当時、ベトナムに駐留するアメリカ軍は、以下のような任務を担当していました。
- 南ベトナム軍への訓練と助言: 南ベトナム軍(ARVN)の将兵に対する軍事訓練や戦術指導を行い、自国軍による防衛能力の向上を支援しました。
- 兵站支援: 弾薬、燃料、食料などの物資供給や輸送、医療支援といった後方業務を担い、南ベトナム軍の作戦行動を支えました。
- 捜索破壊作戦: 国内の特定地域では、ゲリラ拠点や武器庫の捜索・破壊を目的とした掃討作戦を継続的に実施していました。
「ベトナム化」政策と撤退の進展
1969年に就任したリチャード・ニクソン大統領は、「ベトナム化」と呼ばれる政策を掲げました。これは、戦闘の主体を徐々に南ベトナム軍へ移管しながら、アメリカ地上部隊を段階的に撤収させるというものでした。アメリカ軍の駐留兵力は、1969年初頭の約54万人をピークとして減少の一途をたどり、1970年末には約33万人前後まで縮小されました。
また、1970年4月から6月にかけては、隣国カンボジア境内の北ベトナム軍拠点を攻撃する「カンボジア作戦」も実施されています。この作戦はアメリカ国内で大きな反戦運動を引き起こすきっかけとなりました。
その後の経緯
アメリカ軍の撤退はその後も進み、1973年1月に調印されたパリ和平協定を受けて、同年3月までにアメリカ軍はベトナムから完全に撤退しました。しかし、南ベトナム単独での防衛は困難を極め、1975年4月のサイゴン陥落によってベトナム戦争は幕を閉じることとなりました。