ヨーロッパの歴史

古代ギリシャ人は琥珀で衣服の糸くずを取っていた?——電気と磁気の起源をたどる

「太陽の下に新しいものはない」

ラテン語の格言に Nihil novum sub sole(太陽の下に新しいものはない)という言葉があります。歴史を振り返ると、本当にその通りだと感じることが少なくありません。今回もその好例です。テーマは「衣服についた糸くずを取り除くブラシ」。なんと、その原型は古代にすでに存在していたのです。

琥珀が帯びた不思議な力——静電気との出会い

紀元前600年頃に活躍したギリシャの哲学者ミレトスのタレスは、黄色みを帯びた樹脂の一種である琥珀(コハク)を布や獣皮でこすると、軽い物体を引きつける奇妙な性質を帯びることに気づきました。

古代ギリシャ語で琥珀は エレクトロン(elektron) と呼ばれており、これこそが「電気(electricity)」という言葉の由来です。この語は後にフランシス・ベーコンらによって、琥珀のように静電気を帯びた物質を表す言葉として用いられるようになりました。

では、この「魔法のような」性質は何に使われたのでしょうか? 答えは意外にも、衣服についた糸くずや草の葉、枯れ葉などを払い落とすためでした。いわば、世界最古の「静電気ブラシ」だったのです。

古代ギリシャ人は琥珀で衣服の糸くずを取っていた?——電気と磁気の起源をたどる

ミレトスの隣町「マグネシア」——磁石の誕生

タレスは電気だけでなく、磁石についても研究していました。ミレトスからわずか20キロ余りのところにはマグネシアという都市があり、そこで磁鉄鉱(マグネタイト)、いわゆる天然磁石が初めて発見されたとされています。タレスはこの石を観察し、他の金属を引きつけるだけでなく、鉄でこすると石自体が磁力を持つようになることを見抜きました。こうして磁気学が生まれたのです。

古代ギリシャ人は琥珀で衣服の糸くずを取っていた?——電気と磁気の起源をたどる

娯楽から医療へ——磁石への信頼

ほとんどの「魔法」と同じように、磁石もやがて医学の世界へと進出しました。ある種の病の治療に応用されたり、肌の若さを保つ美容目的で使われたりしたといいます(クレオパトラはこの石を抱いて眠っていたとも伝えられています)。紀元前1世紀のローマの哲学者ティトゥス・ルクレティウス・カルスは、こうした石について次のように記しています。

またときとして、鉄の本性があの石から離れようとして、交互にそれを拒み、また追いかけることが起こる。私は磁石を下に置くと、鉄の指輪が浮き上がり、青銅の器の中の鉄くずが震えるのを見たことがある。あの石から逃れたいと、まるで焦がれるように。

電気魚による「電気治療」

同様に、当時の人々はその奇妙な現象を科学的に説明こそできなかったものの、特定の川魚(ナイルの電気ナマズ)や海の魚(シビレエイ)が発する放電を、獲物を「しびれさせて」楽に狩るために利用していることを知っていました。大プリニウスは次のように書き残しています。「電気魚は頭痛や痛風を和らげる薬として用いられる」。

皇帝クラウディウスの宮廷に仕えた1世紀の医師スクリボニウス・ラルグスは、271の処方を収めた膨大な薬局方『De Compositione Medicamentorum(薬剤調合法)』を編纂しました。その中の一つの処方がこちらです。

長く続く耐え難い頭痛〔片頭痛〕を即座に取り除き治すには、生きた黒いシビレエイを痛む場所に置き、痛みが引いてその部分がしびれるまでそのままにしておく。

古代ギリシャ人は琥珀で衣服の糸くずを取っていた?——電気と磁気の起源をたどる

さらにスクリボニウス・ラルグスの記録によれば、これらの電気魚は痛風の治療にも使われていました。浅い水の中に裸足で立ち、黒いシビレエイの間に足を置き、足がしびれるまで耐えるという方法です。その他の文献では、動物の電撃を関節炎やてんかんの治療に用いることも勧められています。

最後にひとつだけ忠告を。自己判断での治療は決しておすすめしません……。