アラン・ピンカートン(Allan Pinkerton、1819年〜1884年)は、スコットランドのグラスゴーに生まれました。後にアメリカへ渡り、シカゴに定住して新たな人生を歩み始めます。
全米初の探偵事務所を設立
1852年、一連の列車強盗事件の解決に大きな功績を挙げたことをきっかけに、ピンカートンは「ピンカートン国立探偵事務所」を創業しました。これは全米初の私立探偵事務所です。同社のトレードマークである「開かれた目」のロゴは、「プライベート・アイ(private eye=私立探偵)」という言葉の由来になったとも言われています。
リンカーン大統領暗殺計画を阻止
1861年には、エイブラハム・リンカーン大統領の警護任務を任されました。そして、大統領就任直前のリンカーンを狙っていた暗殺計画(いわゆるボルチモア陰謀事件)を見破り、これを未然に防ぐことに成功しています。この功績により、ピンカートンの名声は不動のものとなりました。
予期せぬ皮肉な結末
しかし、これほどの成功を収めた男でさえ、奇妙で痛ましい死から逃れることはできませんでした。ある日、ピンカートンは歩道で足を滑らせて転倒し、舌を噛んでしまったのです。ここまでは、誰にでもあり得る些細な事故です。
ところが問題はその後でした。当時の彼は口腔衛生への意識が乏しく、噛み傷から細菌が体内に入り込み、深刻な感染症を引き起こしてしまいます。治療の甲斐なく、数日後の1884年7月1日、シカゴでこの世を去りました。享年64歳です。
数々の難事件を解決してきた伝説の探偵が、舌を噛んだ程度の怪我が原因で命を落とす——あまりにも皮肉な最期として、今なお語り継がれています。

左からピンカートン、中央がエイブラハム・リンカーン
