2005年から2010年まで駐ギリシャ大使を務めたドイツの元外交官、ヴォルフガング・シュルタイス氏が、ドイツ国内で開催されたイベントでギリシャについて講演しました。なかでも大きな関心を集めたのは、第二次世界大戦に関わる戦争賠償金問題についての発言です。
「ドイツ人は決して支払わない」――その理由
シュルタイス氏はこう断言します。
「ドイツ人が賠償金を支払うことは決してありません。第一に、十分な資金がないからです。ギリシャはドイツ政府に対し、国家予算に匹敵する額を要求しています。一人当たりにすると約4,000ユーロに相当します。再選を目指す政権がこれに応じることはあり得ません。しかもドイツが応じれば、次はポーランドが3,000億ユーロどころか9,000億ユーロを求めて動き出すことになるでしょう」
「底のない樽」
一方で氏は、自国が負っている大きな道義的債務については認めています。それでもなお、この要求を「底のない樽だ」と率直に評しました。
その上で同氏は、ギリシャに対して「過去ではなく未来に関わる形で支援を求めるべきだ」と促します。具体例として挙げたのが、ギリシャ・ドイツ青年財団です。「そこなら、いつでも話に耳を傾けてくれる相手が見つかるはずです」と氏は結んでいます。
背景:賠償請求をめぐる両国の立場
ギリシャは、1941年から44年にかけてのナチス・ドイツによる占領の被害と、占領当局へ強制的に融資させた「戦時借款」の返還を長年求めてきました。2019年にはギリシャ議会が総額約2,900億ユーロの賠償請求を決議しています。
これに対しドイツ政府は、1960年の二国間協定や1990年の最終規定条約(プラス4条約)などにより、賠償問題はすでに法的・政治的に解決済みであるという立場を一貫して取っており、今回の発言もそうした見解を裏付けるものとなっています。
出典:DW(ドイチェ・ヴェレ)