ヨーロッパの歴史

エリザベス朝時代にも観光は存在した?16世紀イングランドの旅の実態

結論から言えば、エリザベス朝時代(1558年〜1603年)にも観光は確かに存在していました。ただし、現代私たちが知っている観光とは大きく異なるものでした。16世紀の旅は困難で時間がかかるものであり、レジャーとして旅を楽しめるのはごく一部の裕福な階層だけでした。

人気の観光地はロンドン、オックスフォード、ケンブリッジ

エリザベス朝期のイングランドで最も人気のあった観光地は、ロンドン、オックスフォード、ケンブリッジの3都市でした。これらの都市には歴史的・文化的な見どころが数多く集まっていました。

  • ロンドン塔 — 王室の歴史と伝説に満ちた要塞
  • ボドリアン図書館(オックスフォード)— 英国最古の大学図書館の一つ
  • ケンブリッジ大学 — 学問の中心地として旅行者の関心を集めた

裕福な旅行者たちの旅のかたち

当時の裕福な旅行者は、しばしばグループで移動し、見どころを案内してもらうためにガイドを雇うこともありました。宿泊は宿屋(イン)やゲストハウスを利用しましたが、その多くは現在の感覚でも相当な高額でした。旅費全体が高くついたため、こうした旅ができたのは貴族や富裕層に限られていたのです。

成長する「観光産業」とガイドブックの登場

さまざまな困難がありながらも、エリザベス朝期のイングランドにおいて観光は成長しつつある産業でした。16世紀末までには、旅行者が旅程を計画するのに役立つ数十冊ものガイドブックや紀行文が刊行されるようになっていました。これは、旅への関心が広い層に浸透しつつあったことを示す証拠と言えるでしょう。

まとめ

エリザベス朝時代の観光は、今日のような大衆化されたものではありませんでしたが、「見知らぬ土地の歴史や文化を訪ねて楽しむ」という現代の観光の原型はすでに存在していました。交通の発達とともに旅が一般の人々にも開かれていくのは、その後の時代を待つことになります。