古代の歴史

SKS45:ソ連製半自動小銃の性能諸元と歴史を徹底解説

SKS45:ソ連製半自動小銃の性能諸元と歴史を徹底解説

SKS45とは

SKS(Samozaryadny Karabin sistemy Simonova、1945年/正式名称:シモノフ式1945年半自動騎銃)は、1945年にソ連の銃器設計者セルゲイ・ガヴリロヴィチ・シモノフによって設計された半自動小銃です。1949年、赤軍にAK-47突撃小銃とともに制式採用されました。

しかし、突撃小銃AK-47の大量生産が本格化すると、SKSは前線部隊から急速に引き揚げられ、以降は予備役部隊や儀仗(ぎじょう)用の装備として主に使用されることになりました。

SKSは世界各国へ広く輸出され、旧ワルシャワ条約機構加盟国の一部でもライセンス生産が行われました。東ドイツ(カラビナーS)、ポーランド(Wz 49)、ルーマニア(Model 56)などが製造を試みましたが、いずれも短期間で中止。最終的に独自の改良を加えて生産を続けたのは、中国、北朝鮮、ユーゴスラビアの3か国でした。

現在では、軍用余剰品(サプラウス)として民間市場に大量に出回っており、特に北米を中心にコレクターやスポーツシューターから絶大な人気を誇っています。

基本情報

  • 原産国: ソビエト連邦
  • 分類: 半自動小銃
  • 使用弾薬: 7.62×39mm弾(M43弾)
  • 採用時期: 1949年
  • 総生産数: 約1,500万丁

重量・寸法

  • 重量(空銃時): 3.85kg
  • 全長: 1,021mm(銃剣展開時:1,245mm)
  • 銃身長: 521mm

技術的性能諸元

  • 有効射程: 600m
  • 最大射程: 1,000m
  • 実用射程: 400m
  • 発射速度: 毎分35~40発
  • 初速: 735m/s
  • 給弾方式: 10発固定式弾倉(ストリッパークリップ使用)
  • 照準器: 100m~1,000mの目盛り付き金属照尺

開発の歴史的背景

第二次世界大戦末期、赤軍は歩兵用の新型小銃を強く求めていました。従来の主力だったモシン・ナガンはボルトアクション式のため発射速度が低く、すでに時代遅れになりつつありました。一方、併用されていた短機関銃(PPSh-41、PPS-43)は圧倒的な火力密度を誇るものの、長距離での命中精度に大きな難点がありました。

そこでソ連軍上層部は、新型小銃の要件として「コンパクトであること」「半自動射撃が可能であること」、そして「モシン・ナガン用の7.62×54mmR弾と短機関銃用の7.62×25mm弾の中間に位置する新型中間威力弾を使用すること」を定めました。こうして誕生したのがSKSと、その使用弾薬である7.62×39mm M43弾なのです。

構造とメカニズムの詳細

SKSは7.62×39mm中間威力弾を使用し、10発の固定式弾倉を備えています。再装填の際は、10発入りストリッパークリップを弾倉口にセットし、一気に弾薬を押し込みます。このため射手は着脱式弾倉ではなく、軽量なクリップを携行するだけで済むのが特徴です。

装填後、レシーバー右側面にあるコッキングハンドルを手動で引くことで、最初の1発が薬室に送り込まれます。発砲後は、発射薬の燃焼ガスがピストンとばねからなるガス圧作動システムを駆動し、ボルトを後退させて排莢と次弾装填を自動的に行います。

AK-47との最大の相違点は、SKSが半自動(セミオート)射撃専用であることです。その反面、設計が堅牢で信頼性が極めて高く、整備体制が限られる第三世界の軍隊でも高く評価されました。

また、SKSはAK-47より約10.5cm長い銃身を持つため、精度と射程の両面で優位に立ちます。取り回しも良く、扱いやすい銃として知られています。多くのモデルには、モシン・ナガンM1944から受け継いだ折りたたみ式銃剣(銃身下面に折り畳む方式)が標準装備されています。

各国の派生型

中国・56式騎槍(Type 56)

中華人民共和国は1956年から1971年にかけて、国営第26廠でSKSのコピー生産を行いました。初期の56式はソ連製モデルとほぼ同一でしたが、1965年~1971年製のモデルには、より長く先細りの形状をした銃剣が採用されています(これは旧式のフランス製ルベル小銃などに見られる様式です)。

約100万丁が生産された56式は第三世界へ広く輸出され、ベトナム戦争では後方部隊やベトコンの村民民兵が使用しました。その後も1979年の中越戦争で実戦投入されています。中国人民解放軍では1980年代初頭に第一線から退きましたが、儀仗用・予備役用として残存しており、後継の63式・68式小銃のベースにもなりました。

なお、中国製SKSはアルバニア(「7月10日小銃」)や北ベトナム(「1式小銃」)でもコピー生産されました。

米中貿易会社(China Sports)は多数の56式を「ノリンコ Model 8」の名称でアメリカとカナダに輸入しています。銃剣を撤去したこのモデルは鹿猟用として人気が高く、ノリンコ製の商用版「D」「M」タイプは、AK-47と共通の30発湾曲弾倉を採用しています。

イタリアの商用改造モデル

イタリアのArmi Jäger社は、ロシア製の余剰SKSを.222 Remington弾仕様に改造し、「AP88」として西欧市場で販売しました。フランスで流通したAP88-2は銃剣なし・全長102cm・重量3,100gで、規制に対応するため弾倉容量は5発に制限されていました。

ユーゴスラビア製モデル(M59シリーズ)

1960年から1970年にかけて、ユーゴスラビア人民軍と警察向けに約40万丁のM59、M59/66、M59/66A1が生産され、うち10万丁が海外へ輸出されました。ザスタバ製M59はSKS45と酷似していますが、銃身内面にクロームメッキ処理が施されていない点が異なります。

M59/66およびM59/66A1は、NATO規格の22mm小銃擲弾を発射できる細長い円筒形フラッシュハイダー(擲弾発射筒兼用)を備えているため、他のモデルと容易に区別できます。また、曲射榴弾用の折りたたみ式照尺が銃身上部に追加されているのも特徴で、ウルグアイやモザンビークへ大量に輸出されました。モザンビーク向けモデルには現地供給のチーク材ストックが使われていますが、大多数のユーゴスラビア製小銃はブナ材ストックを採用しています。工作精度はソ連製に匹敵、あるいはそれ以上と評されます。

セルビアの民生用モデル

2003年以降、セルビアのザスタバ社は民間市場向けにM59/66の生産を再開しました。さらに狩猟専用モデル「ZKP 66」も開発しています。こちらは軍用モデルとは異なるストック、ハンドガード、照準装置を採用しています。

M59の主要諸元

  • 重量: 3.85kg
  • 全長: 1,020mm
  • 銃身長: 520mm
  • 装弾数: 10発

M59/66・M59/66A1の主要諸元

  • 重量: 4.10kg
  • 擲弾発射筒口径: 22mm(NATO規格)
  • 全長: 1,120mm
  • 銃身長: 560mm
  • 装弾数: 10発

軍用・民間における運用実績

赤軍の前線部隊では早々にAK-47の座を譲ったものの、SKSは朝鮮戦争やベトナム戦争をはじめ、世界各地の紛争で幅広く使用されました。

SKSを輸入・運用したものの自国では生産しなかった国には、アフガニスタン、アルジェリア、コンゴ人民共和国、インドネシア、イラク、ラオス、レバノン、モンゴル、モロッコ、アラブ連合共和国(エジプト)、シリア、南イエメンなどが挙げられます。

1960年代から70年代にかけて、親ソ路線の第三世界諸国の軍隊ではAK-47への更新が進み、SKSは順次退役していきました。1990年代には大量の余剰銃が再販され、ボスニア・ヘルツェゴビナやソマリアにおいて狙撃兵がSKSを使用した写真や証言が残っています。1990年代~2000年代には、アフリカや東南アジア各地(特に東ティモール)でも使用が確認されました。

米軍はアフガニスタンやイラクでSKSと遭遇しており、フランス軍もコモロ(アザレー作戦)、コートジボワール(ユニコーン作戦)、マリ(セルヴァル作戦)で同様の経験をしています。

冷戦終結後は、ワルシャワ条約機構の在庫品や新品の56式が北米・欧州(EU諸国およびスイス)の民間市場へ大量に流入しました。この流れを受けて、SKSをAK-47風のカスタム銃や、二脚・スコープ搭載の狙撃銃風に改造する各種アクセサリーも多数登場しています。有名な事例として、1992年のロサンゼルス暴動の際、韓国系商店主たちがSKSで店舗を防衛した逸話は広く知られています。