アレクサンダー・セルゲイヴィチ・ヤコフレビとは
アレクサンダー・セルゲイヴィチ・ヤコフレビ(Александр Сергеевич Яковлев、1906年3月19日(ユリウス暦)/4月1日(グレゴリオ暦)モスクワ生まれ – 1989年8月22日 モスクワにて死去)は、ソ連を代表する航空技術者の一人です。
経歴
ヤコフレビはモスクワ軍事航空アカデミーの在学中(1931年卒業)から、練習機や競技用航空機の製作に携わりました。卒業後は航空機工場の設計者として勤務し、1934年には主任技師に就任します。後にこの工場は彼の名を冠して「ヤコフレビ」と改称されました。
1937年には試作設計局の所長に任命され、さらに1940年から1948年にかけては、航空産業人民委員部次官(副人民委員)、続いて航空産業大臣を務めました。
大祖国戦争期の活躍
ナチス・ドイツがソ連へ侵攻した際も、ヤコフレビは設計局の指揮を続けると同時に、1941年末から1942年初頭にかけて、工場を国内中央部へ疎開させ、現地での生産体制を確立する任務を担いました。回想録の中で彼はスターリンとの対話について綴っており、スターリンが産業開発のあらゆる細部にまで強い影響力を行使していたこと、とりわけ航空産業と戦闘機の開発への関与ぶりが描かれています。
主な設計機体
ヤコフレビは極めて多作な設計者として知られ、練習機や競技用機にとどまらず、輸送機、戦闘機、爆撃機、ヘリコプターまで幅広く手がけました。代表作は以下の通りです。
- 練習機・競技機:UT-1、UT-2、Yak-11、Yak-18
- 連絡機・輸送機:Yak-12
- 戦闘機:Yak-1、Yak-3、Yak-9
また、1947年に認証されたソ連初のジェット機の一つであるYak-15のプロジェクトも立ち上げました(Yak-15はMiG-9のライバル機でした)。さらに、タンデムローター方式の大型輸送ヘリコプター「Yak-24(空飛ぶ貨車)」も彼の手によるものです。
現在でも最もよく知られる民間機としては、中距離路線向けの三発旅客機「Yak-42」や数多くの曲技飛行機が挙げられます。ヤコフレビ設計局が生み出した航空機は、延べ数百機種に及びます。
受章と栄誉
ヤコフレビはその功績により数多くの栄誉に浴しました。レーニン勲章を7回受章したほか、ソ連における各種の最高位の勲章・称号も授与されています。最終階級は空軍大将でした。
ヤコフレビ設計局について
ヤコフレビはロシア(ソ連時代)の航空機メーカーであり、設計局の接頭辞は「Yak(ヤク)」です。設計局は1934年、アレクサンダー・セルゲイヴィチ・ヤコフレビによって「OKB-115」の名称で創設されました。「ヤコフレビ」という呼び名は旧西側諸国で広く使われていますが、ロシア国内では単に「Yak(ヤク)+ 機体番号」と略して呼ばれるのが一般的です。
ヤコフレビ設計局が設計した主な航空機一覧
- AIR-1 / AIR-2 / AIR-3 / AIR-4 / AIR-5
- AIR-6(多用途機)
- AIR-17
- UT-1(AIR-14/1936年 – 単座練習機)
- UT-2(AIR-10、Ya-20/1935年 – 複座練習機)
- Yak-1(1940年 – 第二次世界大戦の戦闘機)
- Yak-2(1940年 – 第二次世界大戦の爆撃機)
- Yak-3(1943年 – 第二次世界大戦の戦闘機、Yak-1の改良型)
- Yak-4(1940年 – 第二次世界大戦の爆撃機、Yak-2の改良型)
- Yak-5(1941年 – 戦闘機試作機、Yak-1の改良型)
- Yak-6(1942年 – 輸送機)
- Yak-7(1942年 – 戦闘・練習機、Yak-1の改良型)
- Yak-8(1944年 – 輸送機、Yak-6の改良型)
- Yak-9(1944年 – 第二次世界大戦の戦闘機、Yak-1系の改良型)
- Yak-10(連絡機)
- Yak-11(1948年 – 練習機)
- Yak-12(1947年 – 連絡機・多用途機)
- Yak-13(Yak-10の改良型・試作機)
- Yak-15(1946年 – 初のジェット戦闘機)
- Yak-17(1947年 – 戦闘機)
- Yak-18(1946年 – 練習機)
- Yak-19
- Yak-23(1949年 – 戦闘機)
- Yak-24(1955年 – 輸送ヘリコプター)
- Yak-25(1953年 – 迎撃機)
- Yak-26(戦術爆撃機)
- Yak-27(偵察機)
- Yak-28(多用途爆撃機・迎撃機)
- Yak-36(垂直離着陸実証機)
- Yak-38(垂直離着陸機)
- Yak-40(旅客機)
- Yak-41
- Yak-42(旅客機)
- Yak-50(1949年 – 戦闘機試作機/1975年 – 曲技飛行機)
- Yak-52(曲技・練習機)
- Yak-54(スポーツ機)
- Yak-55(1982年 – 曲技飛行機)
- Yak-56
- Yak-112(多用途機)
- Yak-130(高等練習機)
- Yak-141(超音速飛行可能な初の垂直離着陸戦闘機とされる)
- Pchela(プチョーラ/「マルハナバチ」の意 – 偵察無人機)