古代の歴史

ドイツ海軍の高速戦艦シャルンホルスト級――グナイゼナウとシャルンホルストの実力

ドイツ海軍の高速戦艦シャルンホルスト級――グナイゼナウとシャルンホルストの実力

戦艦か、巡洋戦艦か――分類をめぐる論争

第二次世界大戦期のドイツ海軍が擁したシャルンホルスト級は、「グナイゼナウ」と「シャルンホルスト」の同型艦2隻からなる艦級である。この2隻は、ポケット戦艦(ドイッチュラント級)と同じく、その艦種分類をめぐって議論を呼んだ。装甲防御は正規戦艦に匹敵する水準を備えていた一方、32ノットという高速力はむしろ巡洋戦艦の定義に合致し、さらに主砲がシュペー号と同じ28cm砲9門であったため、同時代の戦艦の主砲に比べ火力で劣っていたからである。

副砲にはポケット戦艦と共通の15cm砲が採用されたが、対空兵装は11cm高角砲14門と、当時としては非常に強力な構成だった。軽対空兵器についても、ドイツは早くから見識を持ってボフォース社の機関砲(ただし口径は40mmではなく37mm)と20mm機関砲を採用しており、連合国側が同種の装備を導入するよりも先んじていた。

高速を実現した蒸気タービンと、抱えた弱点

計画どおりの高速を達成するため、本級では前級シュペー号などのディーゼル機関に代えて蒸気タービンが採用された。最大の欠点は航続距離の短さだったが、それでも両艦は連合国輸送船団の航路上で数々の通商破壊作戦を成功させている。一方で、艦橋構造物の設計のまずさや、高圧蒸気系統の信頼性の低さには就役以来終始悩まされ続けた。それでもなお、その高速力は連合国海軍にとって重大な脅威であり続けた。戦艦と正面から砲火を交える火力こそ持たなかったものの、両艦は常に手強い相手であった。

シャルンホルストは就役当初、ポケット戦艦に似た直線型の船首とキャップのない煙突を備え、そのシルエットはやや無骨で不気味な印象を与えた。しかしその後まもなく、生き残ったポケット戦艦とともに改装が施され、建造時に大西洋型クリッパー船首と煙突キャップを与えられていたグナイゼナウに近い外観へと改められていった。

ポケット戦艦も、そしてシャルンホルストとグナイゼナウも、外国の戦艦と対等に渡り合える存在ではなかった。そこでドイツは本格的な建艦競争へ踏み込み、ビスマルクとその姉妹艦ティルピッツを建造して、誰にも引けを取らない主力艦の獲得を目指すことになるのである。

ドイツ海軍の高速戦艦シャルンホルスト級――グナイゼナウとシャルンホルストの実力

グナイゼナウ 主要諸元

  • 基準排水量:31,800トン/満載排水量:38,900トン
  • 全長:235m
  • 最大幅:30.48m
  • 平均喫水:8.23m
  • 機関:蒸気タービン3軸、160,000馬力
  • 速力:32ノット
  • 防御:舷側装甲帯127~330mm/甲板50~108mm/砲塔248~370mm
  • 兵装:28cm砲9門、15cm砲12門、11cm高角砲14門、37mm対空機関砲16門
  • 魚雷:53.3cm魚雷発射管6門
  • 航空:水上機4機、カタパルト2基
  • 進水:1936年12月8日、キール・ドイチェヴェルケ造船所