
ミゼリコルド(慈悲)は、薄い刃を持ち、両刃または四角形の断面をもつ短剣の一種です。この武器に関する記録は、早くも13世紀にまで遡ることができます。
ミゼリコルドとは
ミゼリコルドは、一般的なダガーよりも長く使い続けられた武器と考えられています。柄には鍔(クイヨン)が取り付けられており、相手の武器を受け止める実用的な構造を備えていました。
この武器の最大の特徴は、その貫通力にあります。突き槍やハルバードと同様、ミゼリコルドは当時の鎧を貫くことのできる数少ない武器の一つでした。特に、首元を守るゴルジェット(喉当て)周辺の鎧の隙間や継ぎ目を狙って突き刺すことができました。
ただし、これは万能の武器ではありませんでした。ミゼリコルドは、戦士同士が極めて接近した白兵戦の状態、すなわち剣を振るう余裕すら失った状況でのみ使用できる近接用の刃物だったのです。
起源に関する謎
もともとミゼリコルドは、ごく短い剣として生まれたと考えられています。しかし興味深いことに、公・私立のコレクションのどこにも、この武器の典型的な標本は確認されていないといいます。
このため、別の仮説では、同一の武器が時代や地域によって「ダガー」「ミゼリコルド」と区別なく呼ばれていたのではないかとも考えられています。
名前の由来
「慈悲(ミゼリコルド)」という名前の起源については、主に二つの説があります。
第一の説:この武器を喉元に突きつけられた戦士は、降伏して「慈悲(メルシー)!」と叫ぶしかありませんでした。敗者が命乞いを強いられる場面から、この名が付いたというものです。
第二の説:戦場で回復の見込みのない重傷者に対し、苦しみから解放するためにとどめを刺す際に、この刃物が用いられたことに由来するというものです。傷ついた兵士への「慈悲」の行為として、この名が残りました。
いずれの説が正しいにせよ、ミゼリコルドという名前は、中世の戦場における過酷な現実と、そこに存在した残酷さと憐憫の入り混じった精神を今に伝えています。