
イギリス空軍(RAF)のトーネード戦闘機が、約40年にわたる現役生活に幕を下ろそうとしています。1979年にRAFへ配備されたトーネードは、長年にわたり同軍の先鋒として活躍し、サダム・フセイン政権下のイラクとの湾岸戦争、コソボ紛争、そして近年ではイスラム国(IS)過激派に対する作戦など、数々の実戦に投入されてきました。
なお、ドイツやイタリアなど他の運用国においても、トーネードは2025年までに退役する予定です。
開発の歴史
トーネードは、イギリス、西ドイツ、イタリアの3か国による共同開発プロジェクトの産物です。試作機は1974年に初飛行し、量産初号機は1979年に飛行しました。トーネードIDS(InterDictor/Strike:攻撃型)は、攻撃任務を重視した複座の多用途可変翼戦闘機です。
最大速度はマッハ2.2、実用上昇限度は15,240メートル、兵装3,690キログラムを搭載した場合の行動半径は約1,390キロメートルに達します。27ミリマウザー機関砲を2門装備し、7つのハードポイントには最大8,165キログラムの兵装を搭載可能です。
防空型のADV(Air Defense Variant)は1979年に初飛行し、1983年から部隊への引き渡しが開始されました。ADVはより高速(最大速度マッハ2.7)で、27ミリマウザー機関砲と空対空ミサイルを搭載します。
実戦での活躍
イギリスのパイロットたちから「トンカ(Tonka)」の愛称で親しまれたトーネードは、1991年の第一次湾岸戦争で初めてイラクに対して実戦投入されました。約60機のGR1がバーレーンとサウジアラビアの基地に展開し、これらの機体には防空型のADVも随伴しました。
当初、GR1は1,000ポンド爆弾とJP233滑走路破壊システムを用いてイラクの飛行場を攻撃しましたが、この紛争で6機が失われています。戦後には6機のイギリス軍トーネードがクウェートに展開しました。1998年の「砂漠の狐作戦」では再び実戦に参加し、36回の攻撃任務を実施、うち28回を完全に成功させています。
1999年には、イギリスのGR1がドイツとコルシカ島の基地からコソボでの作戦に従事しました。発展型のGR4は第二次湾岸戦争(イラク戦争)にも参加し、ストーム・シャドウ巡航ミサイルも運用しました。この戦争では、IFF(敵味方識別装置)の不備が原因で、1機がアメリカ軍のパトリオットミサイルに誤射され、乗員が死亡する痛ましい事故も発生しています。戦後、機体は2009年までイラクに留まりました。
2009年にはトーネードGR4がアフガニスタンに展開し、ハリアーGR7およびGR9の任務を引き継ぎました。トーネードはペイブウェイIVスマート爆弾を使用し、5,000ソーティ以上の出撃を重ねた後、2014年にアフガニスタンから撤退しました。
2011年にはリビアでの作戦に参加し、キプロスのアクロティリ基地を拠点としました。2014年以降は、同じくアクロティリ基地からイスラム国過激派に対する作戦を継続しています。2018年4月にはシリアのアサド政権軍に対する攻撃を実施しました。そして2019年1月31日、RAFのトーネードはイスラム国に対する最後の出撃を行いました。ベテラン機の最後の飛行は式典として、3月14日に行われる予定です。
英空軍が運用したバージョン
トーネードGR1:RAF版のIDSにあたる基本型。GR1からはGR1A、GR1B、GR4、GR4Aが派生しました。最初の228機が1980年に就役し、うち142機が2003年までにGR4仕様へ改修されています。
トーネードGR1B:計26機がGR1B仕様に改修され、シーイーグル対艦ミサイルによる対艦攻撃能力を獲得しました。
トーネードGR4:初期型GR1の改良版で、電子機器の強化とスマート兵器の運用能力が加えられています。
トーネードGR1A/GR4A:RAFとサウジアラビア空軍が使用した偵察型。RAFはこのタイプを30機保有していました。TIRRS(Tornado Infra-Red Reconnaissance System:トーネード赤外線偵察システム)を搭載しています。
トーネードADV:RAFとサウジアラビア空軍が運用した防空型。より強力なエンジンを搭載し、燃料搭載量が多く、上昇率が高く、より高性能なレーダーを備えています。
