古代の歴史

ヘイスティングスの戦いで兵士は盾に刺さった矢を抜かなかったのか?その理由を解説

1066年に起こったヘイスティングスの戦いでは、兵士たちが盾に刺さった矢を抜き取ることは、基本的に行われていませんでした。むしろ、盾は矢やその他の飛来物から身を守るための重要な防具として機能しており、刺さった矢はそのままにしておくのが一般的だったのです。

盾は「刺さったまま」こそ本来の役割を果たす

盾に突き刺さった矢は、一見すると邪魔に思えるかもしれません。しかし実際には、その矢自体が追加の防御層となり、後続の矢や攻撃の衝撃を吸収する役割を果たしていました。無理に矢を抜こうとすれば、盾の構造を傷めたり、新たな隙間を作ってしまったりする恐れがあるためです。

戦闘中に矢を抜くことが危険だった理由

激しい戦闘の最中に盾から矢を取り除く行為には、次のような大きなリスクが伴いました。

  • 防御力の低下: 矢を抜く作業中は盾を完全に保持できず、無防備な瞬間が生まれてしまいます。
  • 盾の損傷: 木材や革で作られた盾は、刺さった矢を無理に引き抜くことで亀裂や穴が広がる可能性があります。
  • 時間と集中力の消耗: 戦場では一瞬の隙が命取りになります。矢の除去に気を取られている余裕はありません。

ヘイスティングスの戦いにおける盾の活躍

ヘイスティングスの戦いでは、アングロ・サクソン軍のハスカール(精鋭歩兵)が大型の円形盾やカイトシールド(凧型の盾)を用い、ノルマン軍の弓兵が放つ矢の雨から身を守ったと伝えられています。特に「シールド・ウォール(盾の壁)」と呼ばれる密集防御陣形を組むことで、矢の乱れ打ちに対抗しました。

このように、盾に刺さった矢は兵士にとって防御機能の一部であり、戦闘中にわざわざ抜くことはありませんでした。矢を取り除くのは戦闘が終わった後や盾を修理する際の話であり、戦場では「刺さったままの盾」こそが兵士の命を守っていたのです。