ビクトリア朝期の工場労働者の賃金事情
ビクトリア朝時代(1837年〜1901年)のイギリスでは、工場労働者の賃金は産業の種類、地域、技能レベル、年齢など、さまざまな要因によって大きく異なっていました。ここでは、当時の工場労働者のおおまかな賃金水準をグループ別に見ていきます。
1. 熟練労働者
職人、工匠、職長などの熟練労働者は、週あたり20〜50シリングを稼ぐことができました。これは当時としては比較的高収入であり、家族を養うのに十分な額でした。
2. 半熟練労働者
機械オペレーターや整備士などの半熟練労働者は、週あたり15〜30シリング程度を稼ぐのが一般的でした。
3. 未熟練労働者
一般労働者や使い走りの少年などの未熟練労働者は、週あたり10〜20シリング前後を受け取っていました。
4. 女性と子ども
女性や子どもは、男性と比べて著しく低い賃金しか支払われていませんでした。女性は週6〜12シリング程度、子どもに至っては週2〜5シリングという少額でした。この事実は、当時の社会における男女間・年齢間の賃金格差を如実に物語っています。
5. 地域による差
賃金はイギリス国内の地域によっても異なりました。マンチェスターやバーミンガムといった工業都市では、農村部よりも高い賃金が支払われるのが一般的でした。
賃金データを読む際の注意点
上記の数値はあくまで平均的な賃金範囲であり、同じカテゴリー内でも状況によって大きなばらつきがありました。さらに、インフレーションの影響により、これらの賃金の実際の購買力は時代とともに変化していきました。
参考までに、当時の通貨体系では1シリング=12ペンス、20シリング=1ポンドでした。この換算を知っておくと、当時の生活水準や物価との比較がしやすくなります。