古代の歴史

ナニワイヤ塚は先住民の「誕生の地」?チカソー・チョクトー族に伝わる創世神話の真実

ナニワイヤ塚(Nanih Waiya Mound)は、アメリカ合衆国ミシシッピ州ウィンストン郡に位置する古代の土塚です。その名は「うねる丘」「傾いた山」などを意味するとされ、約1,700〜2,000年前のウッドランド期中期に築かれたと考えられており、北米南東部で最も古い土塁建造物の一つに数えられます。

三大部族に共通する「創生の地」

この塚は、チカソー族、チョクトー族、そしてマスコギー(クリーク)族の人々にとって、自らの民が生まれた「創生の地」として語り継がれてきました。先住民アメリカ人の誕生の地として古くから神聖視されており、各部族の口承伝承において中心的な役割を果たしています。

チョクトー族の創世神話

チョクトー族の伝承では、人々は地下の世界からナニワイヤ塚を通って地上へ現れたとされています。長い暗闇の中を旅した祖先たちが、この塚の頂で初めて太陽の光を目にしたというのです。近くには「ナニワイヤ洞窟」と呼ばれる儀礼的な洞窟があり、ここから民が地上に出たと語る系譜もあります。

チカソー族の移住伝承

一部のチカソー族の間では、ナニワイヤ塚こそが最初のチョクトー人が創られた「母なる塚」であると信じられています。チカソー族自身も同じ塚から生まれた兄弟部族と位置づけられており、後にこの地を離れて南東部から現在のオクラホマ方面へと移住していったと伝えられています。

今日における聖地としての意義

ナニワイヤ塚は19世紀以降、私有地となり一時的に立ち入りが制限されていましたが、2008年にミシシッピ州からミシシッピ・バンド・オブ・チョクトー・インディアンズへと土地が返還されました。現在も部族のアイデンティティと精神性の象徴として大切に守られており、毎年多くの先住民が祖先への敬意を捧げるためにこの地を訪れます。

ナニワイヤ塚が本当に「民の誕生の地」であるかどうかは考古学では証明できませんが、世代を超えて受け継がれてきた創世神話と、それを支える人々の信仰心は、この場所が持つ揺るぎない文化的価値を物語っています。