独立宣言の「清書版」を書いたのはティモシー・マトラック
1776年7月4日、大陸会議によって採択されたアメリカ独立宣言。私たちが教科書や資料集で目にする、羊皮紙に美しい筆跡で書かれたあの有名な文書は、実は最初の草稿ではありません。この正式な「清書版(engrossed copy)」を作成したのは、ティモシー・マトラック(Timothy Matlack)という人物です。
マトラックとはどんな人物?
マトラックは1730年生まれ、フィラデルフィアで活躍した愛国者であり、ペンシルベニア議会の議員としても名を連ねた政治家でした。もともと醸造業や商業に携わっていましたが、何よりも際立っていたのが、その卓越した筆跡の美しさです。
なぜマトラックが選ばれたのか
18世紀の公式文書には、整った筆記体で丁寧に書き上げることが求められていました。マトラックはその優れた書の腕前を高く評価され、独立宣言の最終的な公式版を作成するという重要な役割を任されたのです。
起草を担当したのはトーマス・ジェファーソンであり、大陸会議での議論を経て修正が加えられましたが、その内容を一枚の羊皮紙に書き上げたのがマトラックでした。この清書版には、後になってジョン・ハンコックをはじめとする56名の署名者が名を刻むことになります。
歴史の表舞台ではジェファーソンの功績が語られることが多い一方、独立宣言を「形」にしたのはマトラックだということを覚えておくと、この文書の歴史的な重みがより深く感じられるでしょう。