ギリシャ神話における冥界の王ハデスは、主神ゼウスや海神ポセイドンの兄弟として知られる重要な神格です。この記事では、ハデスの両親、兄弟姉妹、子供たち、そして愛人となった女神やニュムペについて、わかりやすく解説します。
ハデスの両親
ハデスの父はティタン神族のクロノス、母はクロノスの姉であり妻でもあるレアです。クロノスは「自分の子供に王座を奪われる」という予言を恐れ、生まれた子供を次々と飲み込んだと伝えられています。ハデスもその犠牲者の一人でしたが、後に末弟ゼウスがクロノスに戦いを挑んだ際に兄弟たちとともに救い出されました。
ハデスの兄弟姉妹
ハデスには以下の5人の兄弟姉妹がいます。
- ゼウス … 雷を操るオリンポスの主神
- ポセイドン … 海を司る神
- ヘラ … 結婚と家庭を守る女神
- デメテル … 豊穣と大地の女神
- ヘスティア … 炎と炉の女神
三兄弟であるゼウス、ポセイドン、ハデスは、父クロノスを倒した後、くじ引きによって世界を分割し、それぞれ天と海と冥界を支配することになりました。
ハデスの子供たち
ハデスの子供については、伝承によって語られる母親が異なります。主なものを紹介します。
ペルセフォネとの間の子供
正妻である冥界の女王ペルセフォネとの間には、ザグレウス、マカリア、メリノエの子供たちがいたとされます。マカリアは安らかな死を、メリノエは亡霊や悪夢に関わる存在として知られています。
ミンテとの間の子供
コキュートス川のニュムペミンテとの間にはメンテという子がいたとする伝承があります。ただし、ミンテはペルセフォネ(一説にはデメテル)の嫉妬によりミントの草に変えられたという物語のほうが広く知られています。
レウケとの間の子供
オケアニデスのニュムペレウケとの間にも同名のレウケという子がいたと伝えられます。レウケはハデスに見初められたものの若くして世を去り、白いポプラの木に変えられたことで有名です。
ニュクスとの間の子供
夜の女神ニュクスとの間には、眠りの神ヒュプノスと死の神タナトスが生まれたとされます。なお、ヘシオドスの『神統記』では、この二人はニュクスが単独で産んだ子とされており、伝承によって父親の設定が異なる点に注意が必要です。
アフロディテとの間の子供
愛と美の女神アフロディテとの間には、愛の神エロースが生まれたとする系譜もあります。ただし一般的には、エロースはアフロディテと軍神アレスの息子とされることが多い存在です。
ハデスの愛人たち
ハデスの愛人として伝えられているのは、以下の女神・ニュムペたちです。
- ペルセフォネ … 正妻にして冥界の女王
- ミンテ … ペルセフォネの嫉妬によりミントに変えられたニュムペ
- レウケ … 死後、白ポプラに変えられたニュムペ
- ニュクス … 夜を司る原初の女神
- アフロディテ … 愛と美の女神
このようにハデスは、厳格な冥界の王というイメージとは裏腹に、数多くの女性との関わりを持つ神として描かれています。ギリシャ神話における他の神々同様、その複雑な家族関係は、古代の人々の世界観や死生観を映し出しているのです。