アステカ神話によれば、世界は神々によって、数々の破滅的な出来事を経て創造されたと考えられています。ある伝承では、現在の形に至るまでに、世界は4回創造され、そして4回滅亡したと語られています。これは「五つの太陽」として知られる有名な宇宙観で、それぞれの時代が一つの「太陽」に対応しています。
滅びゆいた四つの時代
最初の世界はアトナティウ(Atonatiuh、「水の太陽」)と呼ばれ、大洪水によって滅ぼされました。
第二の世界はトラトナティウ(Tlatonatiuh、「火の太陽」)と呼ばれ、灼熱の炎によって焼き尽くされました。
第三の世界はトトナティウ(Totonatiuh、「土の太陽」)と呼ばれ、激しい地震によって崩壊しました。
第四の世界はエヘカトナティウ(Ehecatonatiuh、「風の太陽」)と呼ばれ、猛烈なハリケーン(暴風)によって吹き荒らされて終わりを迎えました。
第五の世界「ナウィ・オーリン」と人類の誕生
こうして遂に、第五の世界ナウィ・オーリン(Nahui-Ollin、「4・動き」)が訪れます。この時代こそ、私たちが現在生きている世界にあたります。
この時代に、神々は人間を創り出しました。最初は粘土から人間を形作りましたが、うまくいかなかったため、次にトウモロコシの生地(マサ)を使って人類を創造したと伝えられています。
神々の自己犠牲と人間の役割
さらに重要なのは、神々が自らを犠牲にすることで、人間に命を与えたという信仰です。この犠牲に対する報いとして、人間は供物や儀式を通じて神々を支え、養わなければならないと考えられました。
この「神々の犠牲と人間の返礼」という相互の関係こそが、アステカにおける儀式や生贄の習慣の根底にある思想であり、彼らの宗教観と世界観を象徴するものとなっています。