古代の歴史

チューダー朝時代にもニュージーやタウンクライヤーは存在したのか?

チューダー朝時代(1485年〜1603年)のイングランドでは、ニュージー(新聞売り)とタウンクライヤー(街頭告知人)の両者が実際に存在し、情報伝達において重要な役割を担っていました。活版印刷の普及とともにニュースが大衆へ広まり始めたこの時代、彼らは現代のメディアの原型ともいえる存在でした。

1. ニュージー(Newsies)とは

役割: ニュージーは「ニュースの呼び屋」とも呼ばれ、印刷されたニュースシートやニュース pamphlet を街頭で販売する人々でした。彼らは単なる売り子ではなく、声を上げて見出しを読み上げながら通行人の関心を引く、一種の情報発信者でもありました。

ニュースの拡散: 時事問題、政治的な動向、宮廷のスキャンダル、犯罪や災害など、世間の関心を集める話題を広めるうえで欠かせない存在でした。新聞という定期刊行物がまだ一般的でなかった時代、彼らの手を通じて初めて多くの人々が最新の出来事を知ることができました。

形式: 販売されていたニュースシートは、複数のニュース項目を簡潔にまとめた1ページものの印刷物が主流でした。手軽な価格で購入でき、コーヒーハウスや酒場などで読み合わされることもありました。

対象読者: 読み書きのできるエリート階級から、他の情報源にアクセスする手段を持たない一般庶民まで、幅広い層に向けたものでした。識字率が限られていた当時、内容を口頭で伝えてくれるニュージーの存在は特に貴重でした。

2. タウンクライヤー(Town Criers)とは

役割: タウンクライヤーは、町や都市が正式に雇用する役人であり、公的な告知や布告を住民に伝える専門職でした。「Oyez! Oyez!(聞け、聞け!)」という独特の掛け声は、今もイギリスの伝統行事などで耳にすることができます。

情報伝達: 官方の通知、法律や税に関する発表、市の催し物、王室からの布告など、市民生活に直結する重要情報を地域住民へ確実に届ける役割を果たしました。ラジオもテレビもない時代、タウンクライヤーは行政と市民をつなぐ唯一の公式チャンネルでした。

方法: 響き渡る大声に加え、鐘やホーン(角笛)を鳴らして人々の注意を引きつけました。その後、市場広場や公会堂前などの公共の場所で、集まった群衆に向かって布告を読み上げました。

正確性: 誤った情報を流すことは重大な問題となるため、タウンクライヤーは必ず公式文書または布告書を携行し、それを一字一句変えずに読み上げることが義務付けられていました。これにより、告知の正確性と信頼性が担保されていたのです。

まとめ

ニュージーとタウンクライヤーは、それぞれ民間のニュース流通と公式な情報伝達という異なる役割を担いながら、チューダー朝時代の社会に不可欠な存在でした。両者の活動によって、ニュースや重要な告知が社会のあらゆる階層へと行き渡り、後の近代ジャーナリズムと公共情報システムの礎が築かれていったのです。