古代ギリシャ文学の出発点となったのは、ホメロスの名で伝えられる二つの大叙事詩――『イリアス』と『オデュッセイア』です。この二作品は西洋文学全体の礎とされ、2500年以上の時を経た今もなお、世界中で読み継がれ続けています。
1. 『イリアス』
- ホメロスの作とされる叙事詩
- 紀元前8世紀頃に成立したと考えられている
- トロイア戦争の最終局面である「最後の数週間」を描き、英雄アキレウスの怒りと、それが引き起こした一連の出来事を通じてトロイア陥落までの経緯を描く
- 物語の舞台は紀元前12世紀
2. 『オデュッセイア』
- 同じくホメロスの作とされる叙事詩
- 紀元前8世紀頃の成立
- トロイア戦争を制した後、英雄オデュッセウスが故郷イタケへ帰還するまでの10年に及ぶ漂流と冒険の旅を描く
- 舞台となる時代は紀元前12世紀
『イリアス』が戦場における英雄たちの栄光と悲劇を描いた物語であるのに対し、『オデュッセイア』は知恵と忍耐の主人公オデュッセウスによる帰郷の物語として、対照的な魅力を持っています。
その他の古代叙事詩
ホメロス以降のギリシャ・ローマ世界でも、数多くの叙事詩が生み出されました。代表的な作品には以下のようなものがあります。
- アポロニオス・ロディオス『アルゴナウティカ(アルゴ号の冒険)』
- スタティウス『テバイド』
- ノンノス『ディオニュシアカ』
- スタティウス『アキレイード』
- オウィディウス『変身物語(メタモルフォーセス)』
- ウェルギリウス『アエネーイス』
なお、これらのうちスタティウス、オウィディウス、ウェルギリウスの作品はラテン語で書かれたローマ文学ですが、いずれもホメロスの叙事詩から強い影響を受けた作品群として知られています。