古代エジプトを象徴する文化といえば、死者をミイラとして保存する独特な葬送習慣です。しかし、数千年にわたって受け継がれてきたこの伝統にも、終わりの時が訪れました。
ミイラ作りが終わったのは西暦4世紀
古代エジプト人が死者のミイラ化をやめたのは、西暦4世紀頃とされています。この時期、ローマ帝国においてキリスト教が急速に広まり、エジプト地域にもその影響が本格的に及ぶようになりました。
キリスト教の信仰観との対立
キリスト教では、遺体を保存して来世での再生に備えるという古代エジプトの宗教観は受け入れられませんでした。キリスト教徒にとって、死後の救済は神への信仰によってもたらされるものであり、肉体の保存は必要ないと考えられたのです。こうした新しい信仰の浸透により、ミイラを作る習慣は次第に廃れていきました。
3000年余りの歴史に幕を下ろしたミイラ文化
ミイラ作りの技術は古王国時代(紀元前2686年頃〜)にはすでに確立され、新王国時代には最盛期を迎えました。その後もギリシャ系のプトレマイオス朝やローマ支配の時代に一部で続けられましたが、キリスト教の普及とともに、3000年以上にわたる伝統は静かに幕を閉じたのです。