古代の歴史

シェイクスピアは『ロミオとジュリエット』を古代ギリシャに設定したのか?実際の舞台設定を解説

シェイクスピアは『ロミオとジュリエット』を古代ギリシャに設定したのか?

結論から言うと、シェイクスピアは『ロミオとジュリエット』を古代ギリシャには設定していません。これはよくある誤解ですが、劇中に古代ギリシャの要素は登場しません。

実際の舞台はイタリアのヴェローナとマントヴァ

この悲劇の舞台となっているのは、イタリア北部の都市ヴェローナとマントヴァです。物語の時代設定は、シェイクスピアが執筆した当時、すなわち16世紀後半の近世(ルネサンス期)にあたります。

『ロミオとジュリエット』は1594年から1596年頃に書かれたと考えられています。エリザベス1世治世下のイングランドでは、情熱的で華やかなイタリアを舞台とした物語が大いに人気を博しており、シェイクスピアもその流行に沿ってイタリアを選んだのです。

なぜ古代ギリシャという誤解が生まれるのか

物語の原型そのものは、実はさらに古く、オウィディウスの『変身物語』に登場するピュラモスとティスベの悲恋など、古代の伝承にまで遡ることができます。こうした古典的な悲恋モチーフとの関連から、「古代ギリシャが舞台では?」という誤解が生じることがあるようです。

しかし、シェイクスピアが直接参考にしたのは、アーサー・ブルックの叙事詩『ロミオとジュリエットの悲しい歴史』(1562年)をはじめとする、イタリアを舞台とした近世の作品群でした。つまり、物語のルーツは古代にありますが、劇としての舞台設定はあくまで16世紀のイタリアなのです。