古代ギリシャ演劇の中で、現存する最古の作品として広く認められているのは、悲劇の父と呼ばれるアイスキュロス(Aeschylus)による『ペルシャ人』(紀元前472年)です。この作品は、ペルシャ戦争におけるサラミスの海戦を題材にした歴史悲劇で、完全な形で今日まで伝わる最古のギリシャ戯曲となっています。
なぜ『ペルシャ人』が最古とされるのか
アイスキュロスは生涯で約80作もの戯曲を書いたと伝えられていますが、その大半は失われてしまいました。現存する作品の中では、紀元前472年に初演された『ペルシャ人』が最も古く、それ以前の作品は断片しか残っていません。そのため、ギリシャ劇研究において『ペルシャ人』は出発点となる重要な作品です。
現存する古代ギリシャ悲劇の一覧
古代ギリシャの三大悲劇詩人と呼ばれるアイスキュロス、ソフォクレス(Sophocles)、エウリピデス(Euripides)の現存する主な作品を、上演年とともにご紹介します。
アイスキュロス(Aeschylus)の現存作品
- 『ペルシャ人』(紀元前472年)
- 『テーバイ攻めの七将』(紀元前467年)
- 『救いを求める女たち』(紀元前463年頃)
- 『縛られたプロメテウス』(紀元前458年頃・作者異説あり)
- 『オレステイア』三部作(紀元前458年)――『アガメムノン』『供養する女たち』『慈しみの女神たち』
ソフォクレス(Sophocles)の現存作品
- 『アイアス』(紀元前442年頃)
- 『アンティゴネー』(紀元前441年頃)
- 『オイディプス王』(紀元前429年頃)
- 『エレクトラ』(紀元前410年頃)
- 『フィロクテテス』(紀元前409年)
- 『トラキスの女たち』(年代不詳・紀元前450〜425年頃)
- 『コロノスのオイディプス』(紀元前401年・死後上演)
エウリピデス(Euripides)の現存作品
- 『アルケスティス』(紀元前438年)
- 『メディア』(紀元前431年)
- 『ヒッポリュトス』(紀元前428年)
- 『アンドロマケー』(紀元前425年頃)
- 『ヘカベー』(紀元前424年頃)
- 『救いを求める女たち』(紀元前423年頃)
- 『ヘラクレス』(紀元前416年頃)
- 『トロイアの女たち』(紀元前415年)
- 『タウリケのイピゲネイア』(紀元前414年頃)
- 『イオン』(紀元前413年頃)
- 『ヘレネー』(紀元前412年)
- 『フェニキアの女たち』(紀元前409年頃)
- 『オレステス』(紀元前408年)
- 『アウリスのイピゲネイア』(紀元前405年・死後上演)
- 『バッコス信女』(紀元前405年・死後上演)
まとめ
現存する最古のギリシャ劇は、アイスキュロスの『ペルシャ人』(紀元前472年)です。三大悲劇詩人の作品は、2500年近くの時を経てもなお世界各地で上演され続けており、西洋演劇の原点として今も高い芸術的価値を保っています。