カランカワ族は移動式の家を建てていたのか?
テキサス州のメキシコ湾岸地域に暮らしていた先住民族カランカワ族(Karankawa)については、「移動式の家を建てていた」という説がしばしば見られます。しかし、これは誤解です。カランカワ族が建てていたのは、持ち運び可能な簡易的な住居ではありませんでした。
実際の住居は「ワトル・アンド・ドーブ」工法によるもの
カランカワ族が実際に建てていたのは、ワトル・アンド・ドーブ(wattle and daub)と呼ばれる伝統的工法による住居です。この工法では、まず枝や細い木を格子状に編み上げて骨組みを作り、そこに泥や粘土を塗り込めて壁を仕上げます。
こうして完成する住居は頑丈でしっかりとした構造を持つ一方、その分、建設には長い時間と労力が必要でした。つまり、簡単に解体して持ち運べる仮設住宅ではなく、手間ひまをかけて築き上げる比較的恒久的な住居だったのです。
なぜ「移動式」という誤解が生まれたのか
カランカワ族は、季節に応じて海岸と内陸部の間を移動する半定住的な生活を送っていたことで知られています。夏には海岸沿いで漁労を行い、冬には内陸へ移動して狩猟を行うといった遊動的なライフスタイルから、「軽量で持ち運べる家に住んでいたのだろう」と推測されがちです。
しかし、実際の住居はそう簡単に移設できるものではありませんでした。カランカワ族の家とは、時間をかけて丁寧に建設される、しっかりとした住居だったといえるでしょう。