考古学的発見

セバスチャン・プロクルール氏:ミューオン望遠鏡でエジプトのピラミッドをリアルタイム透視する

フランス原子力庁(CEA)傘下のIrfu(基礎研究部門)で科学研究マネージャーを務めるセバスチャン・プロクルール(Sébastien Procureur)氏は、エジプトのピラミッド周辺に設置されるミューオン望遠鏡の開発を主導してきた人物です。今回は、ScanPyramidsミッションへの参画の経緯と、独自技術について話を伺いました。

セバスチャン・プロクルール氏:ミューオン望遠鏡でエジプトのピラミッドをリアルタイム透視する

エジプトで使用された検出器の前に立つセバスチャン・プロクルール氏

CEAはなぜピラミッドに興味を持ったのか?

Sciences et Avenir(以下、Q):CEAがピラミッドに関心を持つことになったきっかけは何ですか?

セバスチャン・プロクルール氏(以下、答):長い話になりますが、タイミングは完璧でした!2012年当時、私たちは米国ジェファーソン研究所向けのプロジェクトに取り組んでいました。目的は、同研究所の粒子加速器に新世代の検出器「マイクロメガス(Micromegas)」を搭載することです。この検出器は1996年にサクレーで発明された、まさに「ここ生まれ」のデバイスでした。

そこで私たちは、荷電粒子――ミューオンも含めて――を確実に検出できるか確認するためのテストベンチを開発しました。この際、通常よりもはるかに少ない電子機器で運用できるよう、検出器に改良を加えました。そして、この改良を素粒子物理学以外の分野、例えば物体や建造物の「X線撮影」にも応用できないか試したいと考えたのです。

テストの場所は遠くへ探す必要もありませんでした。CEAサクレー研究所内にある給水塔の脇に、4か月間ミューオン望遠鏡を設置しました。結果は上々!塔の内部にある水体の存在や水位変化といった構造的ディテールまで明らかにできました。この実験は2015年9月に終了しました。するとその直後の10月、ScanPyramidsミッション始動の発表を目にします。私はその日の夜、ミッション共同責任者のメディ・タユビ(Mehdi Tayoubi)氏にメールを送りました。その後、タユビ氏とエジプト側の共同責任者ハニ・ヘラル(Hany Helal)教授とともに、考古省へ提出する申請書類を作成しました。こうして私たちは冒険の一員となったのです!

乳剤プレートとの違いは?

Q:名古屋大学チームが屈折ピラミッドに設置した乳剤プレート(感光板)と比べ、あなた方の技術はどう違うのですか?

フィルムカメラとデジタルカメラの対比にたとえることができます。乳剤はいわば「銀塩ミュオグラフィー」です。最大の利点は驚異的な精度で、フィルムの粒子が極めて細かいため、ミューオンの通過位置を数マイクロメートル単位で再現できます。

一方、欠点もあります。乳剤は比較的壊れやすいため、日本チームは記念物の内部に設置したのです。25℃を超えるとフィルムが劣化し、湿度や気圧にも敏感です。さらに、フィルム写真と同じように「現像」を待つ必要があり、その期間は数週間に及びます!そのため、時間情報は一切得られません。すべてのミューオンが4週間かけて積算され、軌跡が再構成された時点では、どのミューオンがいつ通過したのかを知ることはできません。画像は「静止」してしまうのです。

KEKシンチレーターの登場

Q:5月末には、3つ目のミューオンセンサー技術としてKEKのシンチレーターがミッションに加わります。このシステムに対しては、どのような立ち位置にあるのでしょうか?

写真の比喩で言えば、シンチレーターはデジタルカメラに相当し、画像をリアルタイムで取得できる方式です。この技術は歴史が古く、実績があり、非常に堅牢です。火山学などの過酷な環境でも使用されており、私たちの望遠鏡より広い面積もカバーできます。

ただし、最大の弱点は分解能です。写真にたとえれば、シンチレーターは数百ピクセル程度の精度にとどまるのに対し、私たちの望遠鏡は数メガピクセル級の解像度で動作します。

日本の検出器と同じ構造を走査するのか?

Q:あなた方の検出器は、日本チームと同じ対象を「スキャン」するのですか?

日本の検出器は、十分な空間があるピラミッドの内部に設置されます。この配置の利点は、頭上を観測できることにあります。ミューオンの流束は垂直方向に最も大きいため、屋外から約30〜40度の角度で見る場合よりも、多くの粒子を捕捉できる可能性があります。

しかし一方で、屋外観測には特定の領域で高い感度を発揮できるという強みがあります。仮に日本チームの頭上3メートルに空洞があるとしましょう。それを検出するには、100メートル分の岩盤の中から密度差を測定しなければなりません。ところが屋外から稜線(りょうせん)の縁を狙えば、岩盤を10〜20メートルしか貫通しないミューオンを捉えられます。3メートル規模の空洞を探すなら、感度は内部観測の10〜20倍優れることになります。さらに、稜線付近は頭上90度のコーン状範囲しか透視できない日本の検出器にとって死角になりやすい領域です。つまり、両者の技術は非常によく補完し合っていると言えるでしょう!