今週の「アジア・プレス・レビュー」。バングラデシュではマングローブ林の保護をめぐる論争が続いています。日本の城跡からはローマ帝国の硬貨が出土しました。インドでは実在が確認されていない幻の薬草の探求が進められ、中国では旧軍事核施設が観光地へと生まれ変わっています。
中国:万里の長城の修復は大惨事!
遼寧省にある万里の長城の一部区間。修復工事の一環として、無骨なセメントで覆われてしまいました。
中国の万里の長城は、まさに数々の歴史を見てきました。風雨による浸食と破壊、石を狙った略奪、そして場違いな観光施設の乱立。そんな長城に新たな「蛮行」が加わりました。ユネスコが認定する全長約2万キロのうちの一部区間が、みすぼらしいセメントの仕上げで補強されてしまったのです。この修復工事はたちまち「雑で粗野だ」と世間の嘲笑を買いました。国家文物局の高官はその後、中国日報(チャイナ・デイリー)のウェブサイトで、「今回の修理は万里の長城の原始的かつ自然的な歴史的特徴を著しく損なった」と認めました。現在、長城が通る15の省・自治区で保存プロジェクトが進行中です。今後も残念な「驚き」が続くのでしょうか。
バングラデシュ:スンダルバンスの生態系は発電所より重要
バングラデシュのスンダルバンス・マングローブ林の縁に建設が計画されているラマパル石炭火力発電所は、大きな議論を呼んでいます。この緩衝林は、サイクロンや気候変動の脅威から国を守る盾です。一方で発電所が実現すれば、経済的に立ち遅れた地域に電力をもたらします。ユネスコ登録の生態系であるだけに、国家には厳しい説明責任が求められます。英字紙デイリー・スターは紙面を論戦の場として大きく開放しました。9月17日に同紙が主催した会合では、政府の経済顧問が計画への批判者に対し「科学的根拠に基づいて主張すべきだ」と提案。それ以来、植物学者、水文学者、自然保護の専門家といった科学者たちのコラムやインタビューが、同紙の紙面を賑わせています。批判者たちはさらに、建設予定の発電所に搭載されるはずの防汚技術についても疑問を呈しています。
日本:沖縄の城跡からローマ帝国の硬貨
ジャパン・タイムズの記事によると、沖縄県の城跡(勝連城跡)からローマ帝国の硬貨が見つかったのは今回が初めてだといいます。硬貨はコンスタンティヌス1世の治世期のもので、X線調査によって4世紀のキリスト教徒の皇帝の横顔が確認されました。AFPの取材に応じた日本人考古学者たちは懐疑的です。「12世紀に築かれた日本列島最南端の要塞に、西洋の貨幣はどうやってたどり着いたのか?」。専門家によれば、これらの硬貨は日本と西洋世界との直接のつながりを証明するものではなく、商取引に使われた証拠でもないといいます。
インド:幻の薬草を求めて
インド北部ウッタラーカンド州で相次ぐ森林火災が発生し、州の保健大臣を憂慮させています。もし燃え上がった植物の中に、伝統医学の薬草師なら誰もが耳にしたことはあるものの、実際に目にした者は誰もいないあの植物が含まれており、永遠に失われてしまったとしたら?「ムリット・サンジーバニー(命を吹き返す草)」は、叙事詩『ラーマーヤナ』に登場する伝説の薬草です。物語の中で、猿神ハヌマーンがヒマラヤの斜面でこの草を探し出す役目を担っています。ニューヨーク・タイムズの記事が伝えたこの「未確認植物学的な探求」には、納税者の資金がなんと約300万ユーロも投じられています。すでに反対の請願活動も始まっているようです。
中国:旧核施設が観光名所に
中国・重慶市(旧四川省)にあった軍事核施設「816」が、9月末から再び一般公開されています。極秘地下基地の建設は1966年に始まりました。プラントの原子炉は、軍事用のプルトニウム239を生産するはずでした。当時は「ソ連の兄貴分」との関係が悪化しつつあり、核産業の掌握こそが安全保障の担保だと考えられていたのです。ただし中国日報のウェブサイトによれば、この工場が放射性物質を保管したことは一度もないといいます。2010年に一部が公開された後、使われなくなったこの施設は現在、原子力と歴史をテーマとする博物館へと生まれ変わりました。そして今回は外国人観光客も歓迎です。照明に彩られたトンネル、通路、地下の部屋が迷路のように広がる見学には、3時間を要します。