ナチ党が政権を掌握すると、国家社会主義政権は、党の人種的・イデオロギー的基準にそぐわない者への迫害を正当化する法律を次々と制定していきました。
政権にとって「望ましくない存在」とされた人々を排除するため、ドイツ国内にすでに存在していた刑務所施設を流用するだけでなく、ヨーロッパ各地に数百規模の収容施設が設置されていきました。
ポツダム市のリンデン通り刑務所もそのひとつで、1933年以降、「望ましくない人々」を拘束するための拘置施設として利用されるようになりました。1939年からはゲシュタポ(ナチス・ドイツの秘密国家警察)もこの施設を使用し、1941年にはポツダム人民裁判所の管轄下に移管され、体制の敵とみなされた人々を収容することに特化した刑務所となりました。
1945年から1953年にかけてはソ連占領軍がこの施設を使用しました。1953年以降は東ドイツ国家安全省、通称シュターシーの管理下に移り、政治犯を収容する刑務所として機能し続けました。ナチス時代、ソ連占領期、東ドイツ時代と、三つの時代にわたって政治的抑圧の現場であり続けた、数少ない場所のひとつです。

リンデン通り刑務所へのアクセス
旧リンデン通り刑務所は、ポツダムの歴史地区の中心部、リンデン通り54/55に位置しています。ポツダム中央駅からも徒歩圏内にあり、サンスーシ宮殿などの有名観光スポットと合わせて訪れやすい立地です。
開館時間
- 火曜日~日曜日:午前10時~午後6時(月曜休館)
入場料の詳細については、公式ウェブサイトで最新情報をご確認ください。
リンデン通り刑務所の見学
1995年以降、かつてのゲシュタポおよびシュターシーの刑務所は、一般公開された記念館として生まれ変わりました。現在の施設では、東ドイツ時代のシュターシー刑務所が実際にどのような場所だったのかを、ありのままの姿で目にすることができます。

敷地内の複数の棟を見学して回ることができ、実際に収容されていた独房や尋問室の中にも入ることが可能です。壁に残された当時の落書きや遺留品から、ここで過ごした人々の重い歴史を肌で感じることができるでしょう。
ガイドツアーも定期的に実施されています。ツアーは主にドイツ語で行われますが、その多くは元収容者ご自身が案内役を務め、体験者の視点から当時の実態を直接語ってくださる点が大きな特徴です。ドイツ語に不安がある場合でも、館内の展示パネルや資料から十分に学ぶことができます。