「歴史とは何か」を本当に理解したいと考える人の多くは、実は「歴史的時間」という概念を十分に掘り下げていません。しかし、この概念が持つ意味をしっかりと吸収することが、歴史学への第一歩となります。
文化と物語を生み出したものは何か
人間(あるいは人類全体)は、なぜ文化を生み出し、神話や詩といった物語、とりわけ「歴史的叙述」を書くことができたのでしょうか。この問いに最低限の答えを与えるためには、まず時間、そして歴史とは何かを知らなければなりません。歴史や文化に関心を持つすべての人にとって、この概念の基礎的な理解は不可欠だからです。
歴史的時間と自然時間の違い
歴史的時間は、自然時間、つまり物理的・生物学的な自然そのものに内在する時間とは異なります。地質学、天文学、自然史といった学問の研究は、宇宙や地球、そして地球上で発展した生命体の「歴史」についての全体像を私たちに与えてくれます。これらは自然時間の概念に関わるテーマです。
一方、歴史的時間とは、人間によって知覚され、受け止められる時間のことです。それは経済、政治、社会、文化といった人間の発展とその組織の諸領域に属しています。
死の自覚がもたらしたもの
一部の哲学者や多くの歴史理論家たちは、人間が時間に向き合う姿勢は、他のあらゆる動物と比べて最も苦痛に満ちたものであると主張します。その理由は、人間だけが自分自身の死を意識しているからです。人は自分が必ず死ぬことを知っており、まさにこの事実への自覚こそが、偉大な文明を築き上げる原動力となったのです。
川の比喩――ヘラクレイトスの洞察
先史時代の最初の象徴群や、原始文化におけるあらゆる儀礼や神話は、すべてを奪い、すべてを蝕む時間の流れを見つめる視点の原型を成しています。この文脈では「川」の比喩がよく用いられます。万物を破壊する力強い大河を描いた神話は数多く存在します。
哲学の起源においても、ギリシャの哲学者ヘラクレイトスはこの比喩を使って、時間についての彼の直観を説明しました。「人は同じ川に二度入ることはできない」。これはすなわち、「人間も川も同じものではなく、すべては過ぎ去っていく」ということを意味します。
歴史意識の誕生とヘロドトス
変化の直観と同時に、道徳法則や政治原理といった永続的なものへの認識もまた、歴史的時間の重要な特徴の一つです。こうした時間の捉え方が、人間に歴史意識を発達させ、出来事を記録する必要性を生み出しました。それは、出来事が「時の中で失われること」「忘却の彼方へ消えていくこと」を防ぐためでした。「歴史の父」と呼ばれるギリシャの歴史家ヘロドトスは、まさにその精神を受け継ぐ存在だったのです。